(46歳・宅配ドライバー)
A:砂糖の摂りすぎは、食べすぎや運動不足とともにメタボリック症候群のリスク因子とされています。
最近、小田裕昭・名古屋大学大学院生命農学研究科准教授らのグループがラットを使った実験の結果、「時間帯に関係なく砂糖(蔗糖)を摂取するのに比べ、日中の活動時間帯に限ると、脂肪肝や高脂血症(メタボリック症候群)の予防につながる可能性がある」と発表しました。
●甘い物を食べるなら昼間
研究チームは、夜行性のラットを用い、人間なら活動の時間帯にあたる夜間にだけ餌を食べるグループと、時間帯にかかわらず食べるグループに分けて実験。砂糖やデンプンを4週間与えた後、肝臓内や血中の脂肪量などを調べました。
その結果は、夜間に砂糖を与えられたグループでは、肝臓1㌘に含まれる脂肪は平均で約69㍉㌘でしたが、時間制限のないグループは約85㍉㌘と多かった。血液中の中性脂肪の量も、時間制限のないグループのほうが、夜間にだけ与えられるグループの約1.2倍多かったのです。
動物実験の結果ですが、人間の場合も、同様に考えてよいでしょう。
甘い物に限らず、夜遅い食事は太る原因となります。ですから、ご質問の方は、甘い物を食べるのは昼間に限定するとよいでしょう。
寝る前に食べないと安心して眠れないようですが、それは癖です。癖ですから、直すことはできます。
なお、砂糖自体は体に悪いわけではありません。摂りすぎるから悪いのです。ちなみに、世界保健機関(WHO)は、成人の1日の摂取量を小さじ6杯程度までとする指針を出しています。
ご質問の方が1日にどれくらい甘い物を食べているかは分かりませんが、食べすぎないようにしましょう。
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中原英臣氏(山野医療専門学校副校長)
東京慈恵会医科大学卒業。山梨医科大学助教授、新渡戸文化短期大学学長等を歴任。専門はウイルス学、衛生学。テレビ出演も多く、幅広い知識、深い見解を駆使した分かりやすい解説が好評。