「ノンカロリーの人工甘味料は、折からの健康ブームに乗って大いに持てはやされています。炭酸飲料やシリアル、デザートなどに使用され、体重増加や糖分摂取を気にしないで甘い物が食べられると巨大市場が形成されている」(食品ジャーナリスト)
イスラエル・ワイツマン科学研究所の研究チームは、食品業界で広く使用されている3種類の人工甘味料であるアスパルテーム、スクラロース、サッカリンを混ぜた飲み水をマウスに与えた。すると、耐糖能障害、つまり糖尿病予備軍の症状が現れ、一方、通常の水や砂糖水を与えたマウスにはその症状が出なかったという。
また、381人を対象に栄養調査を実施し、人工甘味料の摂取、肥満の兆候、血糖値の上昇、腸内細菌について調べた結果、人工甘味料が腸内の炎症に関わる細菌『バクテロイデス・フラジリス』の数を20倍に増やしていたといい、研究チームは人工甘味料について「本来は抑制するはずだった生活習慣病を、逆に助長する方向に直接貢献している可能性が否定できない」と結論付けている。
「人工甘味料の中でも特に、アスパルテームがさまざまな有害性が指摘され問題になっています。甘味成分としてはステビアが注目されていましたが、値段的に高くて使えないんですよ。また、中にはズルチンのように使用禁止になった成分もあるほどです」(世田谷井上病院・井上毅一理事長)
いずれにせよ、この研究結果は波紋を呼びそうだ。