――かつて“16連射”で一世を風靡した高橋名人。そもそも“名人”と呼ばれるようになったきっかけは?
高橋 きっかけは、'85年に開催した『全国キャラバンファミコン大会』になります。当時はまだ、ファミコンが子ども世代にしか浸透していなかったので、体操の先生のような分かりやすいイベント進行が必要で、その愛称的なもので「名人」と呼ぼうと決めたのです。また、当時のマスコミの中で、ファミコンのことを話せる人がいなかったこともあり、すべてが私に集中したというのが、高橋名人が広まった一番の理由だと思います。
――ファミコンの大ヒット以降さまざまなハードが発売されました。思い出に残っているものは?
高橋 一番記憶に残っているのは『PCエンジン(以降PCE)』ですね。8ビット機でありながらも、アーケードゲームからの移植度が高かったところと、最新の記憶媒体であるCD−ROMをいち早く採用しているからです。PCEのゲームからキャラクターがしゃべったり、生音源が普通になってきたので、ゲーム制作にも大きな影響を与えたと思います。
そして、'94年に発売されたPlay Station(以降PS)。このゲーム機では、新たに採用されたCGによって、本当の“改革”が行われました。PSはゲーム業界の流通にも影響を与えたハードでもあるんです。
――近年はソーシャルゲームが流行しています。今後、ゲーム業界にどのように関わっていこうと考えていますか?
高橋 スマホが登場してから、ゲームはより身近で遊べるものになってきました。タッチパネルで遊ぶための工夫も、各社が新しいアイデアを出していて、新時代を築いていると思います。世間では課金問題も起こっていますが、これは個人で上限目標を決めて遊ぶことで問題はなくなるはずです。逆に簡単に課金できなくすることや、課金の上限金額を設定することもできますので、それを上手く利用していけば、抑えられるでしょう。
今話題の“eスポーツ”ですが、リオ五輪の閉会式で、首相が「日本はゲームとアニメの国」だと表現してくれたのに、その後、政府の動きが遅いのが気になりますね。ゲームで生活できるようなプロのゲーマーが登場して、大活躍している姿を見るのが、私の目標です。法律の整備も含めて、何とかならないかなと思っています。それらが確定した後は、スピーカーとしての役割を果たしたいと考えています。
(聞き手/程原ケン)
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高橋名人(たかはしめいじん)
本名・高橋利幸。北海道出身。株式会社ドキドキグルーヴワークス取締役。ゲームプレゼンター。「ファミコン名人」として活躍し、「16連射」「ゲームは1日1時間」などの流行語を生む。