Aさんは仲間との飲み会で食べ残すのが嫌なので、前後の日に食事の帳尻を合わせるという。たとえば外での昼食の際、牛丼は小盛りを選び、小うどんとサラダを組み合わせる。うどんも具入りにして、いろいろな味を楽しむ。汁を飲み干したい衝動も、小うどんなら量が少なくて済む。
また回転寿司では、アジなど青魚を、ネタの質の良い店を選んで食べ、脂質や塩分が多い炙り(あぶり)系やマヨネーズを使った皿は避ける。焼肉店では、タン塩やホルモンなど、歯ごたえや噛みごたえのあるものを選び、“一気食い”を抑えるといった具合だ。
かつてはビッグサイズの惣菜パン3個に、あんパン1個が昼食の標準だったAさん。3年前から愛妻弁当に切り替え、ダイエット食などについて専門家のアドバイスを聞きながら、食生活に一定のリズムを作ることができた。
弁当箱はワンサイズ落とし、主食3、主菜1、副菜2の割合に詰めれば、容量と食事の熱量がほぼ同じになるという事がわかり、今も続けているAさん。体重5.5キロ減で血圧も正常値を示すなど、体調はすこぶる良好だという。
大学病院の元栄養管理士で料理研究家・林康子さんは言う。
「お一人だとなかなかできない事ですが、家族の協力があってこそ、初めて生活改善もできると思います。お弁当には、さまざまなアイデアが詰め込めます。ポイントは野菜たっぷり。味の濃いつくだ煮などは、アクセントにちょっぴり入れるとか。また、ご家庭でのおかずの調理には、香りの良いゴマ油、マイルドな酢、コショウやレモンなどを使うと、食塩を使った濃い味にしなくても満足感が得られるはずです」
そして、「塩分を摂り過ぎたかな」と感じたら、食後にカリウムの含有量の多い、次のような果物を食べる事。リンゴ、スイカ、トマトジュース、メロン、梨、干し柿、バナナなどをしっかり食べ、水を飲む。カリウムと水分を同時に摂ることで、体内の塩分を水分と一緒に尿として体外に排出できるのだという。
また、酒好きで、おつまみを取るなら、カリウムの多い物を選んで食べ、少しでも塩分を排除した方が得策と、林さんはアドバイスする。
カリウムの含有量の多い食品を順に挙げると、(1)アボカド、(2)ホウレン草のおひたし、(3)枝豆、(4)納豆、(5)ふかしジャガイモ、(6)カジキマグロ、(7)かつおの刺身、(8)長芋・擦りおろし、(9)牛ヒレ、(10)まいたけソテーとなる。
ただし、これからは暑い季節に入る。減塩の大事さは勿論だが、汗をかき、体内でナトリウムが不足すると、食欲減退にめまいふらつきが起き、脱水症状や筋肉異常などが体に現れる。こうした症状も見逃さず、きっちり対処することも大切である。