A:近年、熱中症のマスコミ報道が頻繁にみられます。実際、熱中症にかかる人は年々増加しており、同じく冷え性の方も年々増えていると言われています。これは仮説ですが、冷え性の方は熱中症になりやすいと私は考えています。
まず、冷え性は自律神経失調が関係しています。ストレスや不適切な生活習慣により自律神経のバランスが崩れると、血液循環が悪くなり冷え性や低体温になります。
体温は自律神経の働きで自動調節されます。暑さにさらされると、体表面の毛穴(血管)を開き、汗を蒸散することによって熱を逃がし、深部体温を正常に保とうとします。一方、寒さにさらされると、体表面の毛穴(血管)を閉じ、熱を逃がさないようにして、体の深部の熱(体温)を維持しようとします。
ところが冷え性の場合、自律神経もうまく働けない場合が多いため、猛暑の中で体温が上がると、体温調節機構が正常に作動しにくくなります。また、低体温の状態に慣れていると、体は外気温の異常な上昇に対応できないのです。
●冷えの防止と運動を
このように、私は冷え性と熱中症の関係を捉えています。ですから、熱中症予防のために、まずは冷え性対策をすればよいわけです。
近年の猛暑のため、ビル内や公共交通機関では冷房を効かせています。この冷房が冷えを加速しますので、夏こそ冷え対策が必要です。
冷え対策の第一は、服装に気を配ることです。オフィスでは腹巻きを使い、さらに、足首からふくらはぎの部分はレッグウォーマーをあてましょう。最近は若者を中心にカジュアルなソックスとして、くるぶしの下までしかない短い丈のものが人気ですが、足首を冷やすと冷えが促進します。
その他、日常できることとして実践していただきたいことは運動と入浴です。運動で新陳代謝を高め、ゆったりした入浴で冷えを改善するとともに自律神経のバランスを整えましょう。
なお、基本的な熱中症対策として、炎天下にいる時の水分補給と電解質補給は忘れないようにしましょう。
首藤紳介氏(表参道首藤クリニック院長)
久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院、湯島清水坂クリニック等の勤務を経て、表参道首藤クリニック院長。自然療法や代替医療をはじめ、水素温熱免疫療法や再生医療(臍帯血幹細胞治療)などの高度先進医療を実践。