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耳鼻科だけでは防げないシグナル 意識障害・脳梗塞を引き起こす「目まい」の危険(2)

 さて、一般的に言われる「目まい」は季節の変わり目などに起きやすいとされ、最近は30〜40代の比較的若い人にも多く起きる傾向にあるという。
 「ちょっと疲れた」「寝不足かなぁ」と思いながら、普通の生活を続けているうちに症状が収まってしまうケースがある。そうなると、頭痛や吐き気、布団から起き出せないなど具体的な異変が起きない限り、医療機関を受診する気にならない。
 しかし目まいは、いったん収まっても再び起きる。「たかが目まい」と侮っていると、それが常態化し、異様な症状へと移行していくことあがある。

 昭和大学循環器内科の担当医はこう説明する。
 「目まいの原因はいろいろありますが、急に寒くなったり季節の変わり目に起きやすいのは、脳への血流減少に関わるものです。首から脳幹、小脳、耳の奥の内耳へは、血流を送る『椎骨脳底動脈』が通っており、何かしらの原因でわずかに血流が滞るだけで平均感覚を失い、目まいに結びつきます。人によっては“貧血”と間違えることもあるようですが、とにかく何度も繰り返すうちに発症頻度が高くなる傾向があるので、我慢は禁物。椎骨脳底動脈の血流が原因であれば身体を休めることで症状は収りますが、週に2、3回起きるようなら医療機関を受診すべきです」

 目まいが起こったら、まずは身体を休める(横になる)こと。ハードな仕事も避け、十分な睡眠、栄養バランスの良い食事を摂るように努め、健康に気遣うことが何よりも大事だ。それでも週に2回以上目まいを繰り返すなら医療機関へ、ということである。
 専門家によれば、狭まった血管を広げて血流を正常に戻す「抗目まい薬」を服用すると、症状を抑えるだけでなく再発防止にもなるという。初期段階なら1カ月程度の服用で効果が期待できるようだ。

 では、「なぜ起きるか」の原因について、もう少し専門家の説明を紹介する。
 「目まいを起こす耳の病気」というものがある。原因はいろいろあるが、大きく分けて二つある。
 一つは、目まいと同時に耳鳴りが起きて耳が聴こえにくくなるタイプ。これは「突発性難聴」や「メニエール症候群」などが代表的だ。
 二つめは、目まいだけが起こり、聴力には問題ないタイプで、「良性発作性頭位性目まい」「前庭神経炎」などだ。これら耳の異常による目まいは、原因がどれであれ、ほとんどが「回転性目まい」で突然始まる。
 回転性目まいで、病院に行くと血圧が「190/100 mg Hgぐらいある」などと血圧が異常に高い事を告げられるはずだ。医師によっては降圧剤の服用を薦める場合があるが、血圧を下げても目まいはなくならない。血圧が高いから起きたのではなく、「目まいが起きて驚いてしまい、結果的に血圧が上がっているだけ」(専門医)なのだという。

 また、回転性目まいは頭部をある方向に向けていると起きるが、別な方向に向けるとまず起きない。同じように頭部を急に動かすと目まいがするが、ゆっくり動かせば起きにくいとされる。
 「このタイプの目まいに慣れて、ある人は起こりにくい方向を向いて横たわり、動くときは用心深くゆっくり動くようにしています。そうすれば回避することができます」(専門家)

 いずれにしても、軽い症状だと思って「目まい」を放置していると、想像もできない部位から危険な兆候を発症する場合もあるということを認識すべきだ。

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