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こむら返りで目が覚める「下肢静脈瘤」は人類が歩行した“罰”か!?(1)

 都内に住む調理師のAさん(45)は、最近、入浴中に足の静脈が太く浮き出ていることに気付く。やがて、ふくらはぎの静脈は瘤のように膨らんできて、ぼこぼこした状態になる。「これが俺の足か…」と自分でも気持ちが悪いほどだった。調理師という仕事柄、1日12時間くらいの立ちっぱなしは当たり前。そのせいか、足がいつもだるい。
 そのAさんが言う。
 「厨房に長時間立っていた後は、昼から夕方にかけて、ふくらはぎがだるくなったり、痛みます。それに、足がいつもむくんでいる。夜、寝ている時に、こむら返りが起こって目が覚めることもあります」

 世田谷井上病院の井上毅一理事長が言う。
 「これは静脈瘤といって、太ももの付け根から足に至る皮静脈の拡張したものです。静脈瘤は下肢のほかに食道、直腸、肛門のまわりにもできやすいのですが、何といっても下肢に認められることが多い。ところで、最古の人類は今からおよそ100万年前の第一氷河期と考えられていますが、彼らは既に二本足で立っていたのではないかと推定されています。そして、人類がこうして直立歩行するようになった“罰”が静脈瘤だといわれているくらいです」

 我々が立っている時、静脈に加わる圧力は、重力の関係で寝ている時より高くなっている。
 「生まれつき静脈壁が弱い人は、この圧力に耐えることができず、静脈は次第に拡張していく。その結果、血液を一定の方向に流す助けをする静脈弁が弱まって血液は逆流し、うっ滞(血液などが静脈内などに停滞した状態)する。やがて、静脈は曲がりくねって拡張し、静脈瘤を形成するのです」(井上理事長)

 Aさんのように、日頃から立ち仕事の人は要注意だと井上理事長は忠告する。
 「痛みはそれほどでもないのですが、指でふくらはぎを押すと、引っ込んだまま戻らないのでびっくりしました」(Aさん)

 静脈瘤で比較的多い症状は、痛みではなく、Aさんのように指で押すと引っ込んだまま戻らなくなることだ。
 靴下の跡がついたり、靴を履く時に足が入りにくくなるなどの足のむくみもその一つ。

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