A:椅子に座って長時間、仕事に集中していると、骨盤に上半身の体重がかかります。骨盤は立体構造の骨格。上半身の重みは骨盤の坐骨が支え、坐骨は寛骨にあり、体幹の仙骨と仙腸関節という平面関節でつながっています。
二足歩行の人体においては、この関節を保護・補強している靭帯は、ゾウやカバやライオンより強くできているといわれ、歩行を支えているのです。
しかし、筋肉は使わないと衰えてしまいます。運動不足が続いて筋肉が弱くなると、同じ姿勢をとり続けた場合に腰や背中の筋肉が疲れ、張り、辛くなるのは当然といえるでしょう。
ご質問の方は、腰に痛みまではないようですが、骨盤に歪みが生じてくると、腰痛や坐骨神経痛が起こることになります。
●座位でのよい姿勢を保つ
では、椅子に長時間座り続けても、腰や背中がつらくならないようにするには、どうすればよいでしょうか。それには臀筋(お尻の筋肉)を鍛えればよいのです。
そのための方法の一つは、スクワットや腹筋運動、相撲の蹲踞などの運動です。もう一つは、お尻に生ゴムのバンドを巻くことです。昔は、男はふんどし、女は帯で腰を締めていました。同じようにすることで、椅子に座っているときに、よい姿勢を保つことが大切です。
では、座位のよい姿勢とはどういう姿勢かというと、坐骨の負担をなくすことに尽きます。つまり、前傾の姿勢で太ももの筋肉で座るのです。机があれば肘を付き、いかにも仕事をしていますというような座り方を心掛けるべきです。
これは、闘いの坐り方でもあります。NBLのバスケットボールの選手は、自分の出番を待つ間は前傾で椅子に座っています。試合中も前傾姿勢ですが、出番が終わってベンチに戻ると、体重をベンチの背にかけて座っています。戦いは前傾で、休息は後傾でというわけで、とても理に適った姿勢です。
デスクワーク中も、仕事という闘いですから、このことからも前傾姿勢が合っているのです。
山田晶氏(飯田橋内科歯科クリニック副院長)
骨盤療法(ペルピックセラピー)で著名。日本歯科大学卒業。歯科の領域から骨格に関心を持ち、そのゆがみに着目。骨盤のゆがみを自分で取る方法として、腰回しの普及に努めている。