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体温36度以下は黄色信号 オトコも陥る“冷え性”対策(2)

 もう少し説明しよう。“人体の免疫”の観点から言うと、理想的な体温である37℃以上から1℃下がると、免疫力は約30%低下する。そのため、ウイルスや病原菌への抵抗力が薄れ、病気になりやすく、治りにくくもなる。
 医療関係者は、こうした冷え・低温を誘発する原因を次のように挙げる。
(1)暑いからクーラーをがんがん効かせるため、体が冷え切ってしまい、肩こりや腰痛が続き、不眠、寝起きが悪くなる。
(2)体が冷え切っているのに、冷たい料理や生ビールなど、冷たい飲み物を取ると体は一層冷える。
(3)夜は入浴よりシャワーで済ませることが多い。
(4)血管を収縮させる喫煙習慣がある人は危ない。
(5)運動をしないと筋肉量が衰えて血流が悪くなる。
 などなどである。

 もう一つ注意しなければならないのが、脳卒中や心臓病など他の病気を患っている人は、体の冷え、低体温の発症をきっかけに病状を悪化させたり、後遺症を残し、死に至るケースも少なくない点だ。
 中でも糖尿病の患者は要注意だという。
 「糖尿病の因子である糖は、体内でエネルギーを作り出すガソリンのようなものなのです。これを燃焼させるには、血液中から糖を細胞の中へうまく取り込む必要があるのですが、糖尿病を患っていると、これがスムーズにできず、低体温に陥りやすいといえます」(医療関係者)

 また、血液中に溢れた糖を減らすための治療薬である「インスリン」や「SU剤」の使用から低血糖に陥りやすく、意識障害なども起こりやすくなる。クーラーなどが効いた所で必要以上に身を置くとなおさら発症しやすい。

 こうした冷えをどう防ぐかが重要になってくる。一言でいえば「低体温からの脱出は、体を冷やす原因と手を切る」ことだが、逆に、体内で熱を作るには食事や筋肉量がものをいう。
 熱を運び、体の末端まで温めるのは血流の役目だ。血行のよし悪しに大きくかかわるのが自律神経。緊張時に優位になる交感神経と休息時に優位になる副交感神経があり、副交感神経が優位だと血行が良くなる。
 だが、「現代人は、交感神経優位時間が長い」といわれ、一番の原因は、副交感神経が優位になる睡眠時間の不足、さらに、宵っ張りの生活や早食い、ストレスも一因になって、冷え症を招き寄せている。

 冷えの症状が見つかったら、「まず外から温めること」と、前出の村上氏は言う。冬ならさしずめ“湯たんぽ”というところだが、夏場はそうはいかない。従って夜間、内臓が集中するお腹部分の保温に気を配る必要がある。フェースタオルを四つ折りにしたり、クッキングペーパーを二重にしたものを、寝間着と下着の間に挟み、冷たい部分に当てると空気の層ができて温めることができる。それによって内臓の周りの血液も温まり、手足の先まで回って睡眠も取りやすくなる。

 一方、栄養大短期学部の松田早苗准教授は食事面から体の保温を提案する。
 「熱量は何を食べたかで異なりますが、体温を保つにはタンパク質を多く含む赤身の肉や魚、緑黄野菜に多く含まれる鉄分が大事。それを助けるビタミンCも併せて取り入れたい。そして普段から冷たいものを極力控えるのも大切です」

 食に続いて大事なのは、運動だ。専門家によると「体を動かすと筋肉は熱を出すほか、動かずにいても生命維持のため体は熱を発する。その熱源の6割が筋肉です」と言う。筋肉をよく使うと、筋肉内の毛細血管の数が増えて血流も多くなり、体を温める働きが増す。また、筋肉の収縮が血行を助けてもいるのである。
 「筋肉の衰えは“暖房”を失うこと」ともいわれ、筋肉を増やし冷えにくい体作りをしたいものだ。

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