顔色はまさに「健康のバロメーター」と言い切る医療関係者は多い。つややかで血色もいい人は、健康で元気な人というわけである。逆に、顔色が普段と違っておかしいため「顔色が悪いよ、どこか具合が悪いんじゃない?」と、周囲が心配するほどの“青白い顔”の場合もある。
この二つの対照的な顔色の症状の違いこそ、今回のテーマでもある「気になる顔色の症状」なのだ。その時の顔色から、隠れた病気を素早く読み取れれば、重大な疾患を防ぐことが可能かもしれない。しかし、中には「たかが顔色ぐらいで。夕べ飲み過ぎているだけ」と、気にせずに放置し、後になって内臓の大きな疾患を指摘され「もっと早く気が付けば…」と後悔する人が意外に多い。
「人の顔には、これまでの人生が刻まれている」との格言もあるが、医療関係者は、その人が持って生まれた体質や、これまで蓄積されてきた内臓の不調などが一つの“症状”として顔に浮かび上がってくる、ともいう。
たとえば、「長年の睡眠不足がたたって顔の色が黒ずみ、肌がカサついている人がいると、体調不良や日常生活に問題がないか心配したくなる」と、専門家は健康診断を促す。
人間の顔にはなぜ、さまざまな症状が出やすいのだろうか。東京・大田区で内科医を務める健康管理士・鰺坂憲一氏はこう言う。
「まず考えられるのは、人の顔面には沢山の血管が集まっており、血液の状態がよく反映されていること。たとえば、血液が薄ければ血色は悪くなり、逆に血液の濃度が高めの時は唇や舌などの赤みが濃くなります。また、血液中の老廃物が多い唹血(おけつ)の状態では、すすけたような顔色になり、唇、舌の色が黒ずんだり、黒っぽいシミが現れたりするのです」
さらに、こうも付け加えている。
「皮膚の色が青みを帯びていたり、眉間やこめかみに青筋が目立つ人は、肝臓など内臓器官の不調が疑われます。皮膚が青っぽくなるのは、血液が汚れて黒ずむためで、この黒ずんだ血液は、皮膚色を通して見ると青色に見え、血管を青く際立たせる。粘膜は薄いので、青みが強まって紫色に見える場合もあると思います」