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有名人も続々患う恐怖の病 早期発見が鍵を握る「肝内胆管がん」回避法(1)

 柔道五輪金メダリストの斉藤仁さんが1月20日に亡くなった(享年54)。斉藤さんの命を奪ったのは「肝内胆管がん」だった。この胆管がんは、手術ができるかどうかが大きな分かれ目になり、手術ができないと、厳しい運命を辿ることになる。
 東京多摩総合医療センター総合内科(消化器)・日本肝臓学会肝臓専門医の小倉祐樹氏が説明する。
 「胆管は肝臓から膵臓を経由して十二指腸をつなぐ管で、消化液や消化酵素を運んでいます。この肝臓内部にある胆管に悪性腫瘍ができるものを『肝内胆管がん』といいます。管は直径6〜8ミリですが、がんが小さいうちは消化液などの流れが阻害されず自覚症状が殆どない。ただその場所は、肝臓や十二指腸などの陰になりエコー検査でも捉えにくく、周辺は重要な血管や臓器がいくつもある。そのため、部位と範囲によっては切除が難しく、早期発見でも手術ができるのは、全体の2〜3割です。まして手術が困難な進行性がんだと、余命はそれだけ短く半年から1年といわれます。手術ができない場合、放射線や化学療法が試みられるが、切除以外の療法はまだ有効性が確立されていません」

 また、胆管は肝臓内の「肝内胆管」と肝臓外の「肝外胆管」に分けられるが、肝内胆管がんは「胆管細胞がん」とも呼ばれ、胆管がんの中で最も予後(治療後の経過)の状態が悪い。理由は症状が無く、初めて診断がついた時は、かなり進行し、手遅れになるケースが多いからだ。
 一方、「肝外胆管がん」はがんが発生した部位によって肝門(かんもん)部、上部、中部、下部に分けられ、上部へ行くほど手術が難しいとされ、切除率も低く予後も悪いという。中部胆管がんや下部胆管がんは切除率が上部胆管がんよりも腫瘍部分が大きいため、治癒率は向上しているというデータもある。
 「ただ初期症状は前述したように、かなり進行するまで症状が出ないが、胆管壁が約1ミリと薄く、管も細いため、内腔ががん細胞で塞がれやすく、多くは黄疸が発症する場合が多い。がんそのものは早くから周囲の神経や血管、リンパ管に浸潤し、やはり皮膚や白目が黄色くなる黄疸が発症しますが、その前に“皮膚がかゆい”“尿の色が濃くなった”“白い便が出た”などの症状を訴える人が多いのも特徴です」(専門医)
 こうした症状は、がんが増殖し胆管が詰まり、胆汁の流れがせき止められるための現象で、これらを見逃さない事が早期発見に繋がる。

 一般的に肝管がんの場合は、肝外胆管の上皮に発生した悪性腫瘍を指し、肝内胆管に発生するがんは肝細胞がん(肝がん)に分類される。また胆嚢(たんのう)は肝管から分岐して胆汁を濃縮して貯めておく器官で、胆嚢にできるがんと合わせて胆道がんと呼ばれる。
 2011年のがん統計によれば、胆嚢・胆管がんの死亡者は約1万8000人、死亡率は人口10万人当たり144人。年間の罹患率と死亡率がほぼ同じなのが特徴で、治りにくく死亡につながりやすい悪性腫瘍である事を示している。50歳以上の人に多く、結石や胆管炎、肥満などのリスクが要因とされる。

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