ストレスが万病のもとであることは周知の通り。頭痛や下痢、高血圧、肩凝り、円形脱毛症などがストレス症状であることは有名だが、その他にドライアイや喘息など、意外なところにもストレスの影響は及ぶ。
中でも深刻なのは「がん」だ。真面目で“いい人”ほど日々のストレスで深刻に悩むため、免疫力が低下し、がんになりやすくなると専門家は指摘している。
周囲に気を配り真面目に働く“いい人”ほど病気になりやすい…とは、不条理もいいところだが、それがストレスによって病気を呼び込むことになりかねない。ストレスとの付き合いは非常に難しいのが現実だ。
都内の大学病院心療内科の若手医師たちが「ストレス解消法」を調査したところ、こんな答えが返ってきたという。
以下はその一例。
「部下を育てなければならない」と、神奈川県内のメーカーの女性課長(41)は、9人の部下を抱え、上手く指示が伝わっているか、しばしば気をもむ。仕事は増える一方だが、部下の数は変わらない。上からは仕事の成果を要求されるし、若手を一人前にする必要にも迫られる。
ところが、少々厳しいことを言うと直ぐに落ち込む社員もいて、イライラしたり憂うつになる。気を取り直して「頼りになる上司であらねば」と奮起することもあるが、「責任の重さを常に意識させられる」と悩んだ。
そしてついに体調を崩し、体重も4キロほど減。「このままでは負けてしまう」と考えた末、友人の勧めもあって休日に病院でボランティアを始めた。内容は、患者向けの工作教室や図書コーナーで講師らの手伝いをするというもの。
会社とは異なり、上手くこなして褒められると、仕事の行き詰まりを忘れる。他にも生け花教室や合唱のコーラスグループに入り声を出す楽しみもできて、気分転換に成功した−−。
「気持ちが晴れる機会が多い方が、心の健康にいい。心に余裕ができたのか、部下の人たちとも上手くいくようになった」(女性課長)
ストレスの中に「サンドイッチ症候群」というものがある。その名の通り、上司と部下の間に挟まれた中間管理職がストレスを抱え、さまざまな症状が表れることを指すが、この女性課長はその典型例だ。性格は真面目で、几帳面な方だったらしい。