アルツハイマー型認知症の人を調査したところ、胃炎「有」の人が88%に達し、認知症ではない人は「有」が46.7%と、大きな差があることが判明。
これは私大病院研究グループの調査で明らかになったものだが、胃炎を治療して2年ほど経過すると、逆説的に認知機能が改善することもわかった。
さらに脳神経の病気であるパーキンソン病の患者のうち、胃炎「有」の人の方が症状が改善しにくいという報告もある。胃炎は脳にも影響を及ぼすのだ。
『医者が患者に教えない病気の真実』(幻冬舎)の著者で、江田クリニック理事長の江田証氏は、自身の著者の中でこう記している。
《胃炎があると、炎症を起こしている胃の粘膜に白血球が集まってきて、サイトカインと呼ばれる整理活性物質を出します。サイトカインは細菌やウイルスなどを攻撃する働きがありますが、自分の体にもダメージを与えてしまいます。慢性的な胃炎があるとサイトカインが血液に乗って全身に広がり、血管を傷つけてしまう恐れがあるからです》
そうなると、動脈硬化や脳梗塞を起こしやすくなり、人によっては、頭痛、じんましん、貧血、めまいを起こすといわれる。
胃炎がアルツハイマー型認知症を引き起こすメカニズムは、まだはっきりと解明されていないが、胃炎が脳神経に影響を及ぼしていることはわかってきていると専門家は言う。
いずれにしても、他に「体がだるい」「根気が続かない」などの要因に、胃炎など胃の不調が疑われ、生活の質(QOL)がガタッと低下しがちだ。
日本消化器病学会の専門医は言う。
「これをやったら必ず治るという治療法はありませんが、食事、生活習慣、薬物治療などを組み合わせることが大切です。ただ、薬にしても市販薬を自己判断で飲むようなことは止めてください。医師と相談の上、服用するようにしてほしい。また過度のストレス、寝不足、不規則な生活は改めるべきです」
加えて、治療で何よりも大切なことは、病気を理解し、熱心な医師を探すことだという。
「病院のホームページやブログで、胃炎や、よく似た過敏性腸症候群治療に積極的な医療機関また医師を探すのも手です」(同)
胃の異変には敏感になろう。