A:外食は炭水化物や脂っぽいもの、肉などに偏りがちで、塩分、砂糖なども過剰になる傾向があり、カロリー過多のリスクもあります。
食事は健康を守り、病気を予防するために重要です。しかし、どういう内容にすればよいかは、けっこう難しい問題。食事療法にもいろいろあるのです。
しかも、その答えが得られても、実践できなければ絵に描いた餅です。たとえば、玄米が体によいとわかっても、どうしても玄米が好きになれない人もいるでしょう。
●食事の発想を変えること
では、どうすればいいか。まずは、発想を変えることです。具体的に説明しますと、何を食べるかよりも、よく噛んで食べることを重視しましょう。
よく噛むと唾液の分泌が促され、さらに胃液も十分に分泌されるので、消化・吸収がよくなります。
その結果、食べたものに含まれる栄養素が体に十分に取り込まれ、利用されます。逆に早食いをすると、いくら栄養のある食事をしても、その割りに栄養はあまり体に取り込まれません。
よく噛むと、脳の満腹中枢が正常に働くので、食べ過ぎなくてすみます。一方、よく噛まないで早食いをすると、脳の満腹中枢が正常に作動せず、つい食べ過ぎてしまうことになります。
●たまには魚を
今年106歳になる地三郎(しょうち さぶろう)さんは、スーパー長寿者としてマスコミでも頻繁に紹介されています。地さんは子供の頃、一口30回噛むように躾られたそうです。
その教えを100年近く守り続けているのは、大変に立派なことです。
ご本人も「何を食べるかより、よく噛んで食べることのほうが大事」と語っておられます。
よく噛むことの効用には、脳の血流量を増やして脳の働きを活性化するなどいろいろあります。
また、噛む場合、片側の顎(奥歯などの歯)ばかりで噛まないで、左右の顎で均等に噛むようにしましょう。
このように、よく噛むことを第一義にして、食事内容については最低限のことに注意すればよいのです。脂っぽいものと甘い物を摂り過ぎないように注意すること。肉ではなく、たまには魚にしましょう。
また、外食では、丼ものばかりでなく、みそ汁のついた定食にすることをお勧めします。
今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。