A:サウナで最も危険なのは、脱水症になる怖れがあること。理由は、たくさん汗をかくために体内の水分が失われるからです。これは熱中症と同じです。
脱水症のサインとして、頭痛やめまいがあります。ふらっとめまいがするのは、汗で熱を逃がすために血液が皮膚に集まり、全身の血流量が減るからです。
●サウナより低温の岩盤浴がお勧め
サウナの室温は約70℃。そんな高温環境では、体内の自律神経が活発に働き大量の汗をかくことで体温を下げようとします。体温だけではありません。あらゆる体内の働きは、自律神経によってほぼ一定になるようにコントロールされているのです。
サウナでは汗をかくと同時にかなり体力も消耗します。高温環境に早く体を適応させようという大量の発汗には、たくさんのエネルギーが必要だからです。
また、自律神経である「交感神経」も働き出します。そうなると体はリラックスではなく緊張する方に傾きます。
ですから疲れている時や心身のリラックスが目的の時は、室温が40〜45℃くらいの「岩盤浴」や「陶板浴」がお勧めです。
岩盤浴くらいの温度なら、体力に合わせてゆっくり長く体を温められるため、無理なく体の芯まで温まります。そういった点では、サウナよりも安全で体にいいと言えるでしょう。
●入浴前後に水分の補給を
例に出された芸能人の場合、その日はいつもよりも大量に汗をかいたそうです。脱水状態になると、それが引き金となって血液がドロドロになり、脳梗塞を起こすこともあります。
いつもサウナに入って慣れている方でも、そのときの体調によって自律神経のバランスが崩れ、脱水やめまいなどを起こすケースがあることをよくわきまえてください。
サウナでの脱水症を予防する方法は、入る前に十分な水分を補給することに尽きます。
もし、入浴中に頭が重くなったり、痛くなったり、ふらっとめまいがしたりしたときは、我慢をせずにすぐに出て水分補給をしましょう。
汗をかくと塩分も失われます。ナトリウム補給のために、ミネラル類を配合しているドリンクを飲むこともお勧めします。
首藤紳介氏(湯島清水坂クリニック医師)
薬だけに頼らない医療を実践。久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院母子総合医療センター等を経て、2010年より湯島清水坂クリニック(東京)に勤務。「福田−安保理論」を基盤にした自律神経免疫療法により「薬だけに頼らない医療」を実践中。