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夏の甲子園開催「ギブアップ」寸前

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提供:週刊実話

 新型コロナウイルスの影響により、中止になるのはセンバツ大会だけでは済まない模様。このままでは、夏の甲子園大会も中止になる可能性が――。

「各都道府県で、高校野球の春季大会なども中止となりました。ほかのプロスポーツ興行も活動できておらず、高校野球だけ特別扱いはできないでしょう」(スポーツライター・飯山満氏)

 去る4月17日、日本高等学校野球連盟(高野連)が、各メディアの「今後、高校野球はどうなるのか?」という声に対し、コメントを出した。

「引き続き、全国の休校措置や部活動の状況を確認しながら、対応を検討していきたいと思います」

 このコメントを出した前日の16日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、「緊急事態宣言」が全国に広まった。それに対し、「対応を検討する」としか答えられなかったということは、結論を先送りしただけである。

「今夏の甲子園大会と予選について、運営委員会の会合が4月22日から5月20日に延期されました。本当は22日が2回目の運営委員会の開催日で、5月20日が3回目となる予定でした。5月に延期された会合も、書類を持ち帰り、各々が検討するだけになりそうです」(高野連スタッフ)

 夏の甲子園大会は、本当に開催できるのか。「何も決められない」「結論の先送り」を繰り返している印象は否めない。

「理屈だけで考えたら、甲子園大会なんてできませんよ」(スポーツ紙記者)

 ギリギリまで検討しようとするのは高野連のいいところかもしれないが、悪いところでもある。今春のセンバツ大会がそうだった。

「開催する方向で調整してほしい」と出場32校に通達しておきながら、後日、「中止」を決定。「球児の気持ちを考えたら、最初からできないと言ってあげたほうがよかった」というのが、高校野球ファンの大方の意見である。

「東日本大震災の起きた2011年は、『日本中を勇気づける』という大義名分がありました。でも、今夏の大会については『ない』に等しい」(前出・飯山氏)

 さらに、たとえ高野連が「やる」と言っても、都道府県が予選を消化できない可能性がある。昨夏、全国で2番目に出場校の多かった神奈川県が特にそうだ。予選大会の主要球場となるサーティーフォー保土ケ谷球場は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、8月末まで利用休止となっている。予選が行われる7月は利用できないのだ。

「神奈川大会は昨夏、181校が参加しました。横浜スタジアムが五輪で利用できないので、神奈川県高野連は横浜市の保土ヶ谷球場をメイン会場として日程を消化していく予定でした。東京五輪が1年延期となり事情は変わりましたが、プロ野球との兼ね合いもあります。プロ野球も、ペナントレースの日程が決められない以上、話し合いもできないのです」(学生野球記者)

 全国の予選会場となる地方球場には、「県営」と「市営」がある。保土ヶ谷は県営で、各市営球場はそこまで長期の利用禁止措置はとっていないが、日本中の学校が休校となっている現状からして、「市営だけOK」になるとは思えない。

「全国の春季大会が中止となったため、トーナメント表作りが難しくなりました。春季の成績でシード校が決まるからです。昨秋の大会を参考にするとしても、早く都道府県の高野連に通達しなければ…」(同)

 ウイルス感染の危険性、騒動がピークを超えることが大前提だが、「それでも、イベントは自粛の方向」との見方が支配的だ。

 東京六大学の春季リーグも、通常は2戦先勝による勝ち点制だったが、各校との一発勝負となった。こういった状況を考えると、夏の甲子園大会もやはり開催は難しそうだ。

「一部の私案だと、利用可能な球場を探り、照明設備があればナイターも実施させ、1日6試合以上を消化していくプランもあると聞きました」(前出・記者)

 すでに“ほころび”も出ている。沖縄県は春季大会を途中で打ち切ることになり、球界のご意見番・張本勲氏が「球児を危険にさらす」と、準々決勝まで行われていたことに疑問を呈していた。しかし、現場指導者たちは、もう一つの問題について考えていた。

「今年の春季大会から『1週間500球をめど』という投球制限が課せられました。投手の健康を守るための新ルールですが、各校とも未知の恐怖を感じていました。ところが、ベスト8まで勝ち進んだ学校の中には1人の投手で勝ち上がったチームもあり、参考になりません。日本中が春季大会で、球数制限下での戦い方を模索するつもりでしたが…」(前出・高野連スタッフ)

 使用球場が限られるとなっては、「やる」と決まっても、過密スケジュールとなるのは必至だ。高野連は、自分たちの作った新ルールも実行できなくなる。

「アマチュアスポーツは学校単位の大会です。春・夏ともに中止になったら、3年生は次のステージに進んでしまいます」(同)

「やるか、やらないか」の話し合いすらできない現状からして、高野連はギブアップ寸前。102回目の熱い夏は、来年に持ち越しか。

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