A:おそらく、青年性扁平疣贅でしょう。イボは医学用語では疣贅といい、ウイルス性の疣贅には尋常性疣贅と青年性扁平疣贅があります。いずれもヒト乳頭腫ウイルスが原因ですが、ウイルスの型が違います。
青年性扁平疣贅は、顔や手の甲、腕などに米粒程度の大きさで、扁平で少し盛り上がっています。青年期に多くみられますが、子供や中年にもみられます。
イボ取りと美肌の両方に効果がある、都合がよいものにハトムギがあります。イボ取りで昔からよく知られており、漢方ではハトムギの種子をヨクイニンといいます。
漢方ではイボは湿気によって育つ、いわば“キノコ”という解釈をしています。湿気は、体内に湿気(水)を溜め込むことになります。
●むくみを取る効果も
ヨクイニンは利水作用があり、体内の湿気を取る働きがすぐれているので、湿気で育ったキノコであるイボを治す力があるわけです。さらにビタミンEと良質のたんぱく質が豊富で、植物酵素も多いため、細胞の働きを高めて老廃物の排泄を促す力も強いと考えられます。皮膚を滑らかにし、きめ細かくする美肌、美白効果があるのもそのためです。
血液循環を促進することからも、美肌、美白が期待できます。肌荒れやにきび、吹き出物やシミなど皮膚の症状にも効果があります。現在では、ハトムギからヨクイニンを抽出した医療用医薬品もあります。ご質問の方も皮膚科を受診して診てもらうとよいですが、青年性扁平疣贅と診断されると、ヨクイニンを処方されることもあるでしょう。
一方、漢方専門の医師や漢方薬局では一般に煎じ、薬のヨクイニンを処方します。
ハトムギのエキスを抽出した粉末を錠剤にしたものも、イボ取りの市販薬として流通しています。健康茶としてのハトムギ茶もありますが、生薬の煎じ薬に比べると効果は劣るでしょう。
前述のように、ヨクイニンはむくみを取る効果も優れているので、健康増進にも適しています。美容の場合も同様で、効果を得るコツは長期間続けることです。
岡田研吉氏(玉川学園・岡田医院院長)
東邦大学医学部卒。ドイツ留学中に東洋医学に関心を持ち、帰国後、国立東静病院で漢方を学ぶ。独自の漢方処方で生活習慣病などに成果を上げている。著書『さらさら血液が長生きの秘訣』など多数。