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自己診断による悪循環を防ぐ医者との上手なコミュニケーション(1)

 昔から「病は気から」という言葉があるが、病人自身が深く心配するあまり、症状を大きくしてしまうことがある。とくに心配性の人は、ちょっとした異変にも敏感に反応し、悪い方へ悪い方へと考えようとする。結果として、体のあちこちに“重病の疑い”を抱え込んでしまう。
 しかし、こうした要因の裏に、受診した医者の言葉によって「落胆と不信に追いやられる」こともある。悩み苦しむ患者が優しい言葉を求めているのに、それに応え切れない医者のコミュニケーション力のなさも問題だと指摘する専門家もいる。
 「患者さんや家族にとって、医師とのコミュニケーションがうまくとれるかどうかは、治療法の選択や決定の際にはもちろん、治療後の精神状態やQOL(=生活の質)にまで関わる問題です」
 と、専医の一人は言う。

 ある医療機関が実施したアンケート調査でも、通院先を変えた一般の患者742人の半数以上が「医師とのコミュニケーションが取れないこと」を理由に挙げている。その主な中身を見ると−−。
(1)診療時間が短くてゆっくり会話ができない。
(2)対等な立場で話ができる雰囲気がない。
(3)話し声が筒抜けで落ち着いて話せない。
(4)何を質問してよいかわからない。
 などの四つが多く見られる。このように、一般の患者でも医師とのコミュニケーションギャップを感じていることがわかる。

 中でも、深刻ながん体験者の場合は、どのような場面で医師とのコミュニケーションが取れないと感じているのか。
 1991年に発足した乳がん体験者の会の田中伸子事務局長はこう語る。
 「診察時間が短いこともあるでしょうが、医師がカルテやパソコンの画面から顔を上げず患者の顔も見ずに話をするので、医師に聞きたくても聞けない、取りつく島が無い、という訴えが非常に多いのです。似たような悩みとして『医師がそっけない』、『フランクに話せる雰囲気がない』、『緊張して質問できない』、『医師が冷ややかなので、その場で固まってしまい、言われるまま何も聞かずに帰ってきた』などの声も多いですね」

 短時間に多くの患者に対応しようとする医師の見えないバリアの前で、何も言えない患者が多いことが明らかにされている。
 「医師から納得のいく説明を受けられないということを聞きますが、患者さんが術後の血液検査やCTなどの結果を聞きに行くと、『大丈夫』の一言で片づけられてしまい、何が大丈夫なのかよくわからない。わかりやすい説明をしてもらえれば、安心感が得られ医師といい関係が保てるのに、と感じている患者さんは少なくありません」

 乳がんの手術を受けた主婦・B子さん(48)も、そんな体験をしている。
 「手術後1、2年は、どこかが痛いと再発では? と心配になります。術後の外来でここが痛い、あそこが痛いと訴えました。すると『またか』という顔で『中年女性はよくそういう反応をするね。更年期じゃないの?』と言われショックでした。それ以来、聞かれたことしか答えないようになりました」

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