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危険はアルコールだけに限らない 生活習慣病が招く“肝臓の病”の落とし穴(2)

 東京社会医療研究所の村上剛主任は「最近は1合ほどの飲酒でも脂肪肝になる人が増えている」と、次のように語った。
 「NASHを含め、ウイルス性、アルコール性の肝炎以外の要因でかかる肝疾患の総称を『非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)』と呼びますが、発症する背景には内臓脂肪型肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症などが考えられ、メタボ型脂肪肝とも呼びます」

 NAFLDの8割は、「単純性脂肪肝」といって、進行の恐れがない良性の脂肪肝だが、残り2割がNASHに進むとされる。NASHは、炎症や線維化(肝臓が硬く変質する)をともなう進行性の脂肪肝である。医療関係者によると、この脂肪肝は約10年で3割前後が肝硬変、肝がんに進み、過度の飲酒が無くても、生活習慣病から肝がんになり命を落とすケースがあるという。
 厄介なのはNASHの人の5〜20%が10年以内に肝硬変に進行すると見られていながら、未だに特効薬や確立した治療法がないことだ。治療は自助努力に頼るほかになく、脂肪肝を無くすには、ひたすら食事と運動で脂肪肝の状態を改善させ、背景にある持病のコントロールが必要になる。
 「肥満の改善が一番で、体重を最低10%ぐらいは減らさないといけません。食事は脂肪分を減らす。肝臓は余剰のエネルギーを中性脂肪やグリコーゲンにして溜め込むので、吸収の速い空腹時に甘味飲料を一気飲みしない。間食は止め、食べる時間と食べない時間を常にはっきりさせることなどが大切になります」(前出・村上氏)

 ここまで酒を飲まない下戸でも肝臓病になるということを伝えたが、今は盛夏。連日の猛暑続きでバテ気味のサラリーマンにとって、生ビールが一番とグビグビしたくなる。しかし、度を超す飲酒は肝臓への負担が大きい。そこで、脂肪肝を防ぎ、肝臓をやさしく守る“つまみ類”とその効果を、料理研究家・林康子氏に挙げてもらった。
 (1)アルコールを飲んだら、煮物や炒め物などの他、野菜やキノコ類を食すると、肉類は少なくて済む。
 (2)肉類の代わりに、大豆ミート(マクロビ料理)はお薦め。大豆でできたお肉のような食感の食べ物だ。
 (3)ドーナツやパンケーキ、チョコなど甘いスイーツが止められない人は寒天をつかったスイーツや低カロリーの和菓子に少しずつ変えてみる。
 (4)脂肪肝予防には、タウリンを含む牡蠣、タコ、イカなどを多く食べること。これらはコレステロールや血糖値を下げ、肝臓の働きを高め、中性脂肪を排出する効果がある。

 いずれにしても、脂肪の燃焼は運動が不可欠。毎日ジムに通うなど高い目標は避け、継続できる運動が大切だ。1日30分のウオーキングや、狭い室内でも出来るストレッチやヨガもいい。中年層の病気だと思いがちの脂肪肝が若い患者も増えている今、生活習慣を見直してみる必要がある。

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