五輪東京大会のメダル候補の思わぬ“失態”に騒然とさせられたが、日本水泳連盟は大わらわとなった。
「水連が騒然となったのは、藤森に陽性反応が出たという報告のせいだけではありません」(関係者)
藤森は潔白を訴えている。ドーピング検査は抜き打ちで行われるのが一般的だ。陽性反応が出た場合、再検査もして、慎重にクロかシロかを決めるのだが、こんな情報も交錯している。
「水連、選手仲間も藤森に陽性反応が出たことに驚き、『絶対にやっていない』と彼を擁護していました。もし、本人の知らないうちに禁止薬物か、それを含むサプリメントか何かを服用したとしたら、手の打ちようがありません」(スポーツ協会詰め記者)
藤森だけではなく、日本の競泳選手のために強調しておきたいが、水連をはじめ、日本の各スポーツ団体は薬物に関する取り締まりが厳しい。選手の意識はもちろんだが、「この成分を含んだクスリは飲むな。疑惑を招くから」と言って、一般の市販薬を含めた注意事項が浸透しているのだ。
藤森を擁護する関係者が多いのはそのためで、水連主導によるスポーツ仲裁裁判所への提訴も行われた。
「見方を変えれば、これだけ慎重に注意しながらやってきたのに、陽性反応が出たとなれば、日本の各スポーツ団体は防止策そのものを見直さなければなりません」(同・記者)
水連と藤森による提訴内容は「意図的に、禁止薬物を服用したのではない」というもの。再検査でも陽性が出た以上、こちらは争わないようだ。藤森に下された処分は4年間の出場停止(暫定)。スポーツ仲裁裁判所が禁止薬物を防ぐ日本の努力を認めなければ、他の競泳選手も引っ掛かるかもしれない。
仲間たちを襲った悲劇に、療養中の池江璃花子もいたたまれない心境だろう。