従来、糖尿病の診断基準は三つある。(1)空腹時の血糖値が120mg/dl以上、(2)ブドウ糖負荷試験(75gのブドウ糖を溶かした溶液を飲んで2時間後に測定)の血糖値が200mg/dl以上、(3)随時血糖値(食後や空腹時に関係なく実施する検査の血糖値)が200mg/dl以上というもの。このうち二つが当てはまれば糖尿病と診断され、対策の基本は、血糖値の上昇を抑えることに力点が置かれる。
専門家によると、糖尿病の治療経験があっても、健康診断で指摘されると「生活が制限される」「厳しいことを要求される」など負のイメージを持たれるが、間違った考えだ。糖尿病の場合、要はお腹いっぱい食べて体を動かさずに寝てしまうような生活習慣が最悪だが、食事法や運動で改善できる。
運動は継続が大切で、肉料理にしても週2回ぐらいなら食べても構わないし、少し食べすぎたと思ったら翌日は量を減らす努力をすればいいという。
また、生活習慣を改善しても、ヘモグロビンAICが6.5%(国際標準値)以下にならない場合、医療機関に掛かり適切な治療法を身につける必要がある。
糖尿病の人は、予備軍を含めると2000万人を超えるといわれ、発症から時間が経つと、腎不全や失明、脳卒中などのリスクが高まるといわれる。しかし、まったく治療していないか、治療を投げ出す人を合わせると数字は4割跳ね上がる。少しずつ体が蝕まれていく糖尿病の“本当の恐ろしさ”を知らないのだ。
「血糖値が少しぐらい基準値を超えても大したことはない」と考える人がよくいるが、最新の研究では、糖尿病と診断された時点で深刻な状態と自覚すべきだ。血糖中の糖分をエネルギーに転換させ、筋肉に溜め込むのに必要なホルモンのインスリンを作り出す膵臓のβ細胞が、50%破壊されているのだ。
しかもβ細胞は一度壊れると元に戻らない。早い人では、この時点で心筋梗塞などの合併症が起こす事例は少なくない。
「昼食後、妙に眠くなる、背中がかゆくなる、指先がじんじんするといった症状が出たりもします。これは免疫機能が低下しているためSARS・マイコプラズマ・レジオネラなどの病原因子が体内に入り込み、悪さをするのです。高齢者や糖尿・肺疾患やインフルエンザ罹患者などは体力が低下しているため、免疫力を上回る病原微生物を体外へ排除できず、誤嚥性肺炎のリスクも高めてしまいます」(前出・内山医師)
いずれにしても、高齢者を含め肺炎で苦しむ人が増えている限り、予防は欠かせない。そのためには、肺炎球菌のワクチンの接種を受けることをお勧めしたい。これを受けておくと、抗生物質が効きやすく、肺炎の重症化を防ぐメリットがある。肺炎は50%が肺炎球菌とされるため、ワクチンの接種はメリットが大きいのだ。
ちょっとしたことから重症に陥る前に、しっかり知識を身につけ対策を取ろう。