問題の花粉症は、何の花粉に反応しているかによって発症する時期も異なる。スギ、ヒノキ、ブタクサ、松、イネ、ヨモギなど、自分が反応している花粉は何かを医療機関などで知る必要がある。
しかし、スギが多くある山中に暮らしていても、花粉症にならない人も多くいる。発症もスギなどの植物だけでなく、車の排気ガスなどに含まれる「窒素酸化物」の影響もあるとされ、窒素酸化物と花粉の結合物を体内に吸い込むと花粉症になる可能性が高まる。
また、大気汚染の主因、窒素酸化物から生成される「PM2.5」は、花粉症の発症を高める危険度が高く、凶悪化していると専門家は指摘している。
「空気中には大気汚染物質が多くありますが、中国から襲来するPM2.5が問題視されるのは、その粒子物質が非常に細かく、長時間空中に漂い高濃度汚染に繋がるからです。花粉症など人への影響についても、細かい粒子が鼻や気管支、肺の奥まで入ると、肺に炎症が起きるなどのトラブルが発生。空咳が続き、息苦しさが感じるようになるなど、呼吸器に重大な障害が起きます。こんな症状になったら直ちに呼吸器の専門医を受診すべきで、放置は重症となるため注意が必要です」
PM2.5の抑制策としては、環境省も2月5日、発生を抑えるための総合的な国内対策方針をまとめている。工場や焼却炉から出るばいじんや窒素酸化物などの規制強化のほか、大気汚染防止法で規制されていない野焼きの抑制などに乗り出すという。
日本では'09年に環境基準が設定され、年間平均濃度は年々下がってきているが、環境基準の達成率は3〜4割にとどまる。大気汚染が起きている中国など大陸からの越境汚染の影響も西日本で大きく、九州で年平均濃度の7割を占めるというから深刻だ。
「花粉を吸っていると徐々に抗体が増え、ある日突然発病します。軽く見ないでください」と警鐘を鳴らすのは、アレルギーと花粉症の研究に取り組んでいる『あじさい耳鼻咽喉科』の杉田ちとせ院長。
「もちろん、どの程度の抗体があれば花粉症の症状が出るかは、粘膜の敏感さで異なります。一般に粘膜が敏感であれば、抗体値が低くても発病する。しかし、ゴルフに行ってスギ林にボールを打ち込み、花粉シャワーを浴びた後に発病した話はよく聞きます。抗体がある程度の量となり、大量の花粉を吸い、強い刺激を受けた時に発病するのです。抗体の量を測り、陽性であれば、近い将来花粉症になる可能性がありますし、逆に陽性であっても発病しない人もいる。ただ、年を重ねるに従って発病の割合が増えるので、花粉シャワーを浴びるような不用心さは慎むべきでしょう」