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今日のキャバ嬢ごはん(14)〜明美が愛したイクラの輝き〜

笹田明美(仮名・23歳)

 光に照らされて、煌びやかに輝くその赤い球体の集まりは、まるで宝石箱のようだった。子供の頃、回転寿司で出会って以来、お寿司屋さんでまず最初に頼むのは、イクラと必ず決まっている。当時は鮭の卵だとか、美味しそうだとか、そんな考えは一切頭になく、ただそのキラキラとした美しいデザインに魅了されていた。

 口に入れると全体に広がるイクラの旨みと磯の風味。そしてなによりも刺激を加えた瞬間に、薄皮がプチッと弾けるあの食感が、楽しくて仕方がない。長年、人類を魅了している梱包用のプチプチ素材のように、無の境地に導いてくれる可能性すら感じる。ここまでの領域に達している食材がイクラ以外にあるだろうか。

 栄養面でも文句はない。確かにイクラは鮭の卵だから、脂肪が多く、カロリーが高い。でも豊富なビタミンが含まれている以外に、DHAやEPAという不飽和脂肪酸がコレステロール値を下げて、脂肪を燃焼してくれる。だからイクラはダイエットにも向いているってわけ。出勤前は、新宿の海鮮屋でイクラ丼を食べてから、店に行くこともよくある。

 そしてイクラを食べる時、赤い球体を凝視しながらよく思う。こんな輝きをいつまでも放っていたいって。きっと私は夜の蝶でなく、夜のイクラになりたいんだ。ドレスに身を包み、照明に照らされた観賞用だけでなく、触れると弾けるようなトークで切り返し、お客様を満足させる。そんな飽きの来ない極上のキャバ嬢を目指すために、今日もイクラを食べてから夜の街へと向かいます。

(取材/構成・篠田エレナ)

写真・Adam Chamness

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