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キャバ嬢が生まれる瞬間(80)〜メイクにこだわりたかった未来〜

増田未来(仮名・27歳)

 私は中高生の頃から友達の影響もあって、ギャル雑誌を読みまくり、派手なメイクをしていた。そして当時はモデルのブログを見ながら、つけまつげやカラコンを真似する日々。高校を卒業すると私服やアクセサリーはさらに派手になり、髪も染めるのが当たり前。気が付くと私は、見た目だけなら、どこからどう見ても夜の蝶だった。

 だから初対面の人にはよく「キャバクラで働いてるの?」って聞かれるんだよね。でも当時は漫画喫茶やカラオケでバイトしてたくらいで、一度も夜の世界に入ったことはなかった。

 それから何年か経ち、時代は清楚系へと移り変わっていく。有名ギャル雑誌は次々と廃刊し、メイクもナチュラルなものが男性から好まれ、派手なメイクの女の子はいつしか淘汰されていった。そんな過酷な状況でも私は、派手な髪色や服装、カラコン、つけまつげ、ノーズシャドウくっきりのメイクを貫いたんだよね。だってこれが好きなんだし、誰にも迷惑かけてないからさ。

 でも人からキャバ嬢って言われるたびにそれを否定して、相手の驚きのリアクションを見るのに飽きている自分がいた。もうそれなら本物のキャバ嬢になろうかなって。それに、もう周りには私と似たメイクする子はいないけど、キャバにいけば仲間が増えると思ったんだよね。それで私は、思いきってキャバ嬢になった。でも思ったより、今のキャバクラも派手なメイクの子は多くなかったな。夜の世界も時代には逆らえないんだね。でも私だけは、どんなに時代が移り変わっても、このメイクを貫いていきたいですね。

(取材/構成・篠田エレナ)

写真・brandon.taylor86

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