社会 2020年01月20日 06時00分
1人のご近所さんに許したら、畑中の大根が持ち去られる 被害にあった農家の対応に称賛
地球温暖化による気候変動、農業人口の減少など、農家が抱える問題は少なくない。海外では、大切に育てた作物を、驚くような形で失った農家がいる。 海外ニュースサイト『Oddity Central』は1月9日、近所の人に自作の大根を取る許可を与えた農家が、全収穫分の大根を根こそぎ取られてしまったと報じた。 同記事によると、中国・湖北省に住む農家の男性2人は、近所の住人から、「お宅の作った大根をスープに入れたら、とても美味しかった。大根を少し分けてもらえないか?」と頼まれたそうだ。農家の男性らは、近所の人だし、「数本ならOK」と大根を無料で取る許可を与えたという。 翌日、男性らの畑には、見たこともないくらいの人であふれていたという。近所の人に話した「数本無料OK」の親切が、いつの間にか「畑の全大根が無料」と話が変わってしまったようだ。どの時点で誰が話を捻じ曲げたのかは分かっていないが、SNSなどで噂は瞬時に広まり、噂を聞きつけた人が、畑に押し寄せたそうだ。農家の男性らによると、「無料大根」を求めてやってきた人は、3千人はいたという。中には120km以上遠方から来た人もいた。男性らは、全収穫分の大根500トン分(約460万円相当)の被害を被ったという。 男性らは警察に通報したものの、目の前で大根が取られていく様を見つめることしかできなかったようだ。親切心が思わぬ損害を招いたが、農家の男性らは「大根の一件は、チャリティだったと思うようにする。被害届を提出したり、損害賠償を求めることはしません」と同記事の取材に対し、語ったという。 このニュースが世界に広がると、ネット上では「農家の神対応に拍手を送りたい。素晴らしい人だ」「農家の心の広さに感動!」「大根を取っていった人にも問題がある。畑に到着した時点で、普通気付くでしょ。良心が痛まないのか?」「近所の人だから、デマを拡散した人の特定は容易。親切を仇で返すとは許せない」「高くついたレッスン代だ」「だから農家は皆、銃を持つべきなんだ」「中国だから起こる出来事」などの意見が上がった。 海外には他にも、思わぬ形で被害を被った農家がいる。 海外ニュースサイト『Daily Mail』は2019年6月14日、オーストラリア・サウスオーストラリア州の酪農農場で火災が発生し、納屋などが燃え、約1100万円相当の損害が発生したと報じた。 同記事によると、2019年6月14日深夜未明、酪農農場の納屋が燃えていると警察に通報が入ったという。納屋は焼け落ちて、中にあったトラクターと1トン分の餌が燃えたそうだ。火災発生直前、急いで現場から立ち去る車の音を、近隣住人らが聞いている。警察では、放火とみて捜査を進めているという。 被害にあったのは、サウスオーストラリア州でも最大級の酪農農場。農場の所有者の男性によると、火災の約6週間前にも、何者かが農場の門を開けて、100頭近い牛が逃がされる出来事があったそうだ。近年、動物の権利保護を訴える過激な団体が、農場を襲撃する事件が増えており、所有者の男性は「犯人はアニマル・ライト(権利保護)活動家だと思うが、捜査結果を待ちたい。セキュリティの強化が必要だ」と同記事の取材に対し、語ったという。 農業従事者にとって、最も警戒しなければならないのは、人間なのかもしれない。記事内の引用についてFarmers let neighbors help themselves to a bar or two of their radishes, incur $42,000 in losses(ODDITYCENTRALより)https://www.odditycentral.com/news/farmers-let-neighbors-help-themselves-to-a-bag-or-two-of-their-radishes-incur-42000-in-losses.htmlFarmers say they are living in fear from vegan activists after an explosive fire caused $100,000 worth of damage to their property(Daily Mailより)https://www.dailymail.co.uk/news/article-7141199/SA-dairy-farmer-living-fear-vegan-activists-fire-causes-extensive-damage.html