社会 2025年10月24日 01時00分
「働きたい人がもっと働ける」労働環境を検討 時間外労働の規制緩和で過労死を危惧する声も
「全員に馬車馬のように働いてもらいます。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて、働いて、働いてまいります」。自民党の総裁に選出された直後の高市早苗氏の演説は大きな波紋を呼んだ。高市氏の発言は自民党所属の国会議員に向けてのものだったが、自分たちへのメッセージととらえた国民も多かったようで、「働き方改革はどこに行ったんだ」「過労死復活か」「また残業詰めの日々に戻っちゃうの」と危機感を抱く意見がSNSであふれた。しかし、これから働き方は本当に変わるかもしれない。上野賢一郎厚生労働大臣は22日の会見で、時間外労働の上限規制緩和について検討する考えを明らかにした。時間外労働の上限規制は、2019年に施行された働き方改革関連法によって定められた。上限(休日労働は含まず)は、原則月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ超えることはできなくなった。会見で上野厚労相は「誰もが働きやすい労働環境を実現する必要性や、上限が過労死認定ラインであることを踏まえて検討する必要がある。今後、審議会での議論を深めたい」との考えを示した。高市首相は上野厚労相に対し、心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和を指示している。つまり、時間外労働の規制撤廃はすべての労働者に適用されるのもではなく、働きたい人はさらに働けるという方向性だ。X(旧Twitter)では、このニュースに対し著名人がさまざまな反応を示している。作家で日本保守党代表の百田尚樹氏は「おお、これはいい。何よりも働きたい人が働けることが素晴らしいし、働く時間が増えれば、外国人労働者など入れる必要もない」と外国人労働者の問題についても言及した。また、衣類通販大手ZOZOの創業者の前澤友作氏は「働きたい人がもっと働けるようになるのはいいこと。でも、働けない人、働きづらい人が負い目を感じないようにしたい。『お腹に赤ちゃんいます』マークみたいに、『働きまくってます』マークつけてる人いたら、電車の席譲ったり、お疲れさまって声かけたい」と労働者の意思を尊重する考えを示している。一方で、日本共産党議長の志位和夫氏は「『ワークライフバランスという言葉を捨てる』ことを国民に強要するな」と、社民党副党首の大椿ゆうこ氏は「労働者をバカにし過ぎだ!闘う」(原文ママ)と激しく反発。Xでは賛否が巻き起こる状態となった。