芸能ニュース 2020年09月26日 07時00分
『恋つづ』でも話題の瀧内公美「作家に求められる女優でありたい」新作映画は売れない女優役
中川龍太郎、穐山茉由、安川有果、渡辺紘文という日本映画界の若手実力派監督が集結。それぞれが各自の手法で、売れない女優マチ子のまなざしを通して、“女”であること、“女優”であることで、女性が人格をうまく使い分けることが求められる社会への皮肉を、周囲の人々との交わりを介在しながらコミカルに描く映画『蒲田前奏曲』が9月25日からヒューマントラストシネマ渋谷、キネカ大森ほかで全国公開される。 >>全ての画像を見る<< それぞれの監督のメガホンのもと、4部構成となった同作の第3番「行き止まりの人々」(安川監督)で黒川瑞季を演じるのは『火口のふたり』などで注目を集めた実力派女優の瀧内公美だ。瀧内に本作の見所などを聞いてきた。ーー作品のオファーをもらった時はどんな心境でしたか。 瀧内:テーマが難しそうな題材だなって。自分が出演しているもの以外の台本を読んでいなかったのでどういう形になるんだろう、と。短編形式で話テーマが4つあって、通常の形式とは違った作品だけど、撮影が始まってからはいつもと変わらず演じました。オーディションの場が舞台となりますけど、自分ではあんな険悪な雰囲気のオーディションは経験がない。クランクイン前に同じくオーディションを受ける女優・マチ子役の松林うららさんとリハーサルをした上で、オーディションを開催する制作側の役者さんも入って撮影するという感じでしたが、いろいろ想像しながらの撮影でした。セリフはあるけど、受け答えの仕方などはその場の展開によって変わってくる。その場で起きたことに対して瞬時に反応していく形で作り上げていきました。ーー完成されたものを見てどんな印象を持ちましたか。 瀧内:マチ子のいろんな表情が見れる作品になっていると思います。4人の作家がそれぞれのテーマを持って作っているので、一本の長編作品ではあるけれど、ボリューム感があり、見応えのある作品に仕上がっていました。こういう作品に携われて自分自身も新たな発見がたくさんありましたね。ーー瀧内さんは映画『火口のふたり』や、最近でもドラマ『凪のお暇(いとま)』『恋はつづくよどこまでも』と話題作にもたくさん出演されています。女優として今後どんな役に挑戦していきたいと考えていますか。 瀧内:その時その時、課題のようなものが自分の中にあって、それを考えながら作品を選んでいます。『火口のふたり』はふたり芝居であること、荒井晴彦さんの脚本であること、共演した柄本佑さんは以前からご一緒してみたい俳優さんではありましたので、挑戦させてもらいました。テレビドラマは過去にあまり経験がなかったので、去年から挑戦しています。経験を積んでいかないと、カメラの前に立つことにいつまで経っても慣れないでいる怖さがある。あと、自分が面白いと思った作品には積極的に参加しようと思っています。魅力のある作家さんと仕事がしたいと思っています。ーー将来的にはどんな女優さんになろうと思っているのですか。 瀧内:どんな女優さんになりたいというより、きちんとした人間でありたいとは思っています。役者の世界はどうしても特殊な世界。でも、作品で描くのは大抵普通の人たち。一般的な感覚、日々の営みや社会との関わりは大切にしたいな、と。あと、作家に求められる女優でありたいという思いはありますね。ーー本作でも女優を演じていますが、瀧内さん自身はどんな女優さんに憧れを持っていますか。 瀧内:好きな女優さんでいいますと藤山直美さんです。かっこいいですよね。日常の匂いもきちんとあり、藤山さんのエッセイを読ませていただいてさらに好きになりました。基本的にかっこいい女優さんが好きです。ーー最近はドラマなどの役柄で強い女を演じることが多いと思うのですが、世間の評判などが気になったりというのはありますか。 瀧内:わたし、SNSとかあまり見ないので、周囲の反響はよく分かっていないんです。届けて終わりみたいなところがあります。表現して終わりというスタンスでやっているので、あまり世間樣のことは気にはしていません(笑)。ーーリアリティのある役、作品が多い中、女優をしていて、撮影中、役をプライベートでも引きずってしまうことはありますか。 瀧内:そういうのはないです。普段からフラットでいるようにしています。そうでなければ、表現という感じではなくなってしまう。役との距離感はいつも大切にしています。ーー今年はコロナの問題など、特別な一年となりました。自粛期間はどんなことをしていましたか。 瀧内:自粛期間、映画館に一度も行きませんでした。わたし、映画館で作品を観るのが好きなので。どうしても何か見たくなって、配信系のサイトで映画をよく見ていました。新作はあまり見ないです。名画座にはよく行きますね。あと、ドキュメンタリーも好きです。女優として、好きな作家さんがたくさんいるんです。そういった方たちとご一緒できるよう、これからも一作品一作品、大切にやっていきたいと思っています。(取材・文:名鹿祥史)取材場所協力:ENBUゼミナールメイクアップアーティスト:藤原玲子ヘアスタイリスト:YAMA衣装協力:Ray BEAMS『蒲田前奏曲』︎出演 : 伊藤沙莉 瀧内公美 福田麻由子 古川琴音 松林うらら 近藤芳正 須藤蓮 大西信満 和田光沙 吉村界人 川添野愛 山本剛史二ノ宮隆太郎 葉月あさひ 久次璃子 渡辺紘文 監督・脚本 : 中川龍太郎穐山茉由安川有果渡辺紘文企画 : うらら企画製作 : 「蒲田前奏曲」フィルムパートナーズ (和エンタテインメント ENBUゼミナール MOTION GALLERY STUDIO TBSグロウディア)特別協賛: ブロードマインド株式会社 日本工学院配給: 和エンタテインメント、MOTION GALLERY STUDIO2020年 / 日本 / 日本語 / 117分 / カラー&モノクロ / Stereo『蒲田前奏曲』︎ ©2020 Kamata Prelude Film Partners9月25日(金) よりヒューマントラストシネマ渋谷・キネカ大森にて他全国順次公開