社会 2025年11月17日 18時00分
中国、日本への渡航自粛で戦々恐々のインバウンド業界 「昔ほど中国人はお金を落とさない」「これで各地の観光地が穏やかになる」ネットでは歓迎ムード
中国政府は14日夜、中国国民に対して、当面の間、日本への渡航を自粛するよう注意喚起を行った。高市早苗首相が国会の答弁で「台湾有事は存立危機事態になり得る」と発言したことへの対抗措置とみられる。中国側の理由として「日本の指導者が公然と台湾問題に関する露骨な挑発的発言を行い、人的交流の雰囲気を著しく悪化させた。在日中国人の身体と生命の安全に重大なリスクをもたらしている」と主張した。措置を受け、外務省の金井正彰アジア大洋州局長は17日朝、中国に向け羽田空港を出発。金井局長は北京で中国外務省の劉勁松アジア局長らと会談し、改めて高市首相の答弁について説明した。会談では、人的交流を途絶えさせるべきではないと伝える一方、中国の薛剣駐大阪総領事が「その汚い首は一瞬の躊躇(ちゅうちょ)もなく斬ってやるしかない」とSNSに投稿したことへの懸念も伝えたとみられる。これまで中国は、東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を理由に2023年8月から、日本産水産物の輸入を全面的に停止していた。しかし、今年6月から水産物の一部の輸入を再開しており、輸入の観点からみると緩和傾向にあった。だが、日本への渡航自粛という事態がもし長引けば、インバウンド業界への影響は免れないだろう。現在の訪日中国人はほぼ個人旅行客で、団体旅行客は非常に少ないといわれている。以前のように家電量販店前に大型バスを横付けして“爆買い”する光景も減り、キャリーケースの“コロコロ”を携えて電車移動する中国人が増えた。今回の渡航自粛のニュースに中国の国民からは、「政治とは関係なく日本に行きたい」という意見の一方、「しばらくは静かにしたほうがよい」と政府の自粛要請に従う意見もある。また、日本のX(旧Twitter)では「一番打撃受けるのは、中国人観光客向けの商売してる在日中国人じゃないの?」「昔ほど中国人は(日本に)お金落とさないよ」「これで各地の観光地が穏やかになったら日本人が(旅行に)行くでしょ」「高市さんは本人が意図しないところで公明の連立解消とか中国人の渡航制限とか、日本人にとってプラスの効果もたらしているのホントすごいな」など、渡航自粛を歓迎するコメントであふれている。中国の次の大型連休は春節(2026年2月15日~23日)となる。日本のインバウンド業界はそれまでには解決してもらいたいところだろう。