社会 2025年12月08日 21時00分
おこめ券をめぐって各界から厳しい意見が続出、一方で何の解決にもならない現金支給が理想か
農林水産省は3日、おこめ券の提供を含む食料品の価格高騰対策の先頭に立つ全国の自治体向けにオンライン説明会を開いた。参考となる各自治体のこれまでの取り組みを紹介し、対策を円滑に進めてもらいたい考えで、説明会は5日まで計3回行われた。政府は物価高対策として、自治体が自由に活用できる重点支援地方交付金を拡充。自治体が使用期限付きのおこめ券やプレミアム商品券、電子クーポンなどを給付するのを支援する方針だ。この中で政府は、すでにあるJA全農などの「おこめ券」について、来年9月末までとする使用期限が設けられる方向であることを明らかにしたという。また政府は、期限までに券が使われなかった場合、相当分の金額を、自治体から国に返納させる方針とのことである。これを受け5日、フジテレビ系情報番組「サン!シャイン」では、MCとして生出演する俳優・谷原章介が自治体による「おこめ券」配布案をめぐり私見を述べた。おこめ券の配布に関しては大阪・交野市の山本景市長が自身のX(旧Twitter)で「配りません」と明言し、番組ではVTRで山本市長のコメントを取り上げた。谷原は「でも、実際おこめ券が配布されて、家計の助けになることは間違いないと思うんですけれども、なんかもやもやするよね、このおこめ券の問題、って」と疑問を投げかけ、「一番使い勝手いいというのは現金だけど、現金給付は参院選のときに僕たちは否定したわけじゃないですか。だから非常にもやもやする」などと意見した。同番組に生出演するお笑いコンビ・メイプル超合金のカズレーザーが「交野市長の水道料金減額。すげえ即効性もあるし、全員共通だなと。理にかなっているし、国民全員に同じ額だけ減税なり還付したらいいな」と賛同。「いろんな選択肢の中で現金は否定されたけど、何を給付するかって話になった時に『おこめ券』と『現金』だったら、現金の方がメリットが大きい」とコメントした。また、同じく生出演していた俳優の梅沢富美男は「本当にそう思う。そんなんだったら、国がそうやって支援するんだという気持ちがあるのならそのまま渡してやればいい。なんでこんなことをやってるのか。現物で渡せばいい」と持論を展開。フリーアナウンサーの神田愛花は「それだけを政府が推奨してるって聞いちゃうと何かあるのかな」と疑念を抱き、スタジオはおこめ券問題にヒートアップした。おこめ券をめぐっては、さまざまな意見が上がっている。同日、フリーアナウンサーの辛坊治郎氏が自身のXを更新し、「お米券を配る最大の理由は、米暴落を防いで、高く買いすぎた米流通業者、農協を守ることにある」と指摘。続けて、「ガソリン元売りに補助金が撒かれたり暫定税率が廃止になるのは、ガソリンなどの消費が減るのを防いで、長期に渡り元売りを守るため。一方、物価が高くなる『積極財政』は強力に推進される。これが政治だ」(以上、原文ママ)とつづった。また、元大阪府知事・元大阪市長で弁護士の橋下徹氏も同日、自身のSNSを更新。橋下氏は、「おこめ券はほんとくだらない政策。しかしこれを批判できる政治家は、公金を使って身内企業に発注することはない政治家のみ。鈴木大臣やJAは適正利益だ!と言って来るだろう」と指摘。続く投稿では、「今回のおこめ券は経費率がきちんと比較できた。そして第三者である自治体が評価・選択できたのでおこめ券が排除される」とし、「しかし、国会議員が身内企業に発注した場合、経費や利益、付加価値について他業者ときちんと比較ができない。そして第三者審査がない。だから国会議員は、オープンな第三者審査ができないなら、公金や政治献金を用いて身内企業へ発注することを止めるべきなのだ」(以上、原文ママ)と厳しい意見を述べた。やはり現金支給が理想なのか。とはいっても、一時的な現金支給は何の対策にもならないが、現金をもらって不快な人はいないことが実情である。