社会 2023年07月19日 22時01分
「おぐらが斬る!」ロシアはまた崩壊するか? ロシアはまた分裂するかもしれない
いつ終わるとも知れないウクライナ戦争も、いつか終わる日が来る。その後、ロシアはどうなるのだろう?プーチンはウクライナとの戦争をあきらめる様子はない。6月からはじまったウクライナ反転攻勢は、成果を出していない。ニューズウィークによると、この1カ月で支配地域を広めたのはロシア側だという。それでも欧米の戦争研究者たちは、長期的に見れば、ロシアは勝てないというのが共通認識だ。経済制裁で、原油や天然ガスは安値で買い叩かれ、経済成長の基盤である労働者は、300~400万人が海外に逃げている。親ロシアだと言われていたトルコやインドは、ロシア離れを起こしている。頼れるのは中国だけだ。その中国も、去年の9月には原油や天然ガスを「半分はルーブルで買ってやるが、半分は人民元だ」と人民元の決済を求めてきた。ロシアの中国依存は増え、おそらくいまでは取引のほとんどを人民元で決済しているようだ。ロシアとしてはこれに逆らえない。ウクライナ戦争後、ロシアは中国のゆるい支配下に入るのではという研究者もいる。ロシア連邦という国は、21の共和国と195の民族からなっている。彼らは言語も宗教も違う。だからこそ1991年にソビエト連邦が崩壊したとき、ロシア民族の支配から逃れ、15か国もの共和国が独立したのだ。さらにいまウクライナに徴兵されて戦っているロシア民族は少なく、多くが各共和国に住むイスラム教徒や少数民族が、動員され戦い戦死しているのだ。表にはあまり出てこないが、各共和国はかなりの不満を持っているという。もしロシアがウクライナ戦争に敗れた場合、キーウの『ポストロシア自由民族フォーラム』の見解では、敗戦後ロシアは41もの国に分裂する可能性があるという。さすがに41もの国に分裂なんてことはないと思うが、万が一分裂したら、イスラム教徒が多い共和国は、トルコに近づいていくに違いない。地下資源の豊富な共和国が独立したら、ロシアは大きな資金源を失うことになる。そして地下資源のある国に、中国が接近して行くだろう。中国にしてみれば、ロシアは西側の緩衝国であってくれればいいので、辺境の共和国が独立しても、民主主義国家にならなければそれでいい。来年3月にロシアの大統領選がある。プーチンの求心力は落ちているが、プーチンは当選し、このままウクライナの戦争を続けるつもりだろう。しかし長期化すればするほど、ロシア連邦の各共和国はクレムリンへの反感が強くなる。もしソ連崩壊のキッカケになった軍部のクーデターが、再び起こったらロシアはまた崩壊の可能性は大いにある。クーデターは戦争が終わる前に勃発し、それで戦争が終わりロシア再崩壊になるかも知れない。プロフィール巨椋修(おぐらおさむ)作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。