社会 2025年11月22日 12時00分
宮古島バブル10年で勢い減 アパート供給過多で家賃値下げ
宮古島から伊良部島までの長さ4310メートルの伊良部大橋が完成した2015年が宮古島バブルのスタートだったと宮古島市の長濱政治元副市長が語った。長濱氏は橋の完成によってリゾートホテル用地の需要が高まるのと軌を一にして自衛隊基地の建設が始まったことから島外から来る職人の住宅需要が急速に高まり家賃が高騰したと話した。地元紙の宮古毎日新聞は、伊良部大橋の完成以降の10年で市内の商業地は最大で2.3倍、住宅地は最大で3.4倍にそれぞれ高騰したと報じている。宮古島発祥で沖縄県大手不動産会社の佐和田功会長は、宮古島と伊良部島が橋でつながったことで休眠状態だった県営下地島空港に国内外のLCC航空会社が就航し、それに伴ってリゾート客を当て込んだホテル建設ラッシュが続いた。伊良部大橋人口約5万人の宮古島市では、島外から大量の職人が来るようになり、それに伴って賃貸アパートが不足、家賃はみるみる上がっていった。1K~1LDKで家賃が7~10万円と、県都那覇市の5万円台を大幅に上回るようになり、地元の若者たちも住宅難民となっているようだ。需要に合わせてアパートの建設に拍車がかかり、更に職人不足が進んだ。しかし、作りすぎでアパートの供給過多傾向となり、家賃については下落局面に入る兆候のようだ。佐和田会長は、海に面した風光明媚な土地にはリゾートホテルが林立してきており、地価は高止まりが続く状況と話している。県内大手建設会社の会長は、建設ラッシュで売り上げは好調ながらも、賃金の上昇と資材高騰で収支の帳尻合わせに苦心していると話す。伊良部島海岸宮古島市は、ご多分に漏れず少子高齢化が進行している。アパートの不足とは対照的に古い住宅の空き家も年々増加傾向を見せて、空き家活用対策が喫緊の課題となっている。市役所が音頭を取って民間業者と空き家をどのように活用するかの検討が緒に就いたばかりだ。市の委託を受けて一般社団法人リノベーション沖縄の安里亨英理事長は、島内に散在する約800戸の空き家をリフォームして、地元の方々向けに低廉な貸家の提供や、カフェ、レストランなど、地元の新たな働き口を目標にしている。その他温暖な気候を生かして別荘として賃貸、あるいは売却できないかを検討中という。宮古島は冬の避寒地、春のスギ花粉避難地、夏のバカンス、過ごしやすい秋の休息地として商機が有るのではないかと期待している。取材・文/照屋健吉 リアルライブ編集部