社会 2025年08月18日 09時00分
シニア世代のリゾートバイトが急増、魅力はお金より“新しい挑戦”
最近、シニア世代の「リゾートバイト」が増えているという。全国の観光地にあるホテルやレジャー施設などに住み込みで、数か月程度の期間限定で働くのがリゾートバイトだ。13日放送のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」では活躍するシニアの現場をレポートした。1人目は北海道利尻島のホテルで働く66歳の元自衛隊指揮官。接客業は初めてだというが、物腰は柔らかく敬語もしっかりしていることから宿泊客の評判は上々。朝7時から夜20時まで、中休み5時間をはさんでフロント業務や送迎が中心だ。仕事がない時間には大自然の中でジョギングを楽しんでいる。2人目は美容師歴35年、60歳で静岡県下田の温泉リゾートバイトを始めた男性。食器洗いや配膳が主な業務で、1カ月約25万円になる。「美容師のときは仕事に追われるのがイヤで新しい挑戦がしたかった」と話す。3人目は客船のホールスタッフを務めるなど接客業に従事し、6年前からリゾートバイトを始めた女性。全国15カ所を渡り歩くベテランだ。「子育てが終わり自分の人生に戻ってきた感じ」とやりがいを語り、北海道に夫を残して自分の人生を謳歌している様子だ。観光地を旅しながら働くことができ、生活費を大幅に抑えられるのが魅力だという。シニア向け求人が増えている最大の理由は、人手不足だ。リゾートバイトと聞くと、20代若者が多いイメージもあるが、若者だけでは枠が埋まらない。観光地の多くは繁忙期と閑散期がはっきりしており、繁忙期にはいわゆる“季節労働者”が大量に必要となる。そして、雇用側も人生経験豊富なシニアに期待している部分は大きく、とくに子育てが一段落した主婦層のニーズが高いという。体力勝負の力仕事であれば若者に分があるが、ホテル・旅館にとって落ち着きあるシニアの接客は貴重な戦力だ。現在、高年齢者雇用安定法により、企業には65歳までの雇用確保が義務付けられている。60歳定年でその後は嘱託勤務などの再雇用制をとっている会社が多い。だが、第二の人生として新しい挑戦に踏み出すのも一つの手だ。シニアにとって、リゾートバイトの仕事は新しい環境を体験し、他の人々と交流する絶好の機会となる。金を出して旅行に来る人たちがたくさんいるような素晴らしい環境で働き、暮らすことができて給料までもらえるのは特別な体験だ。なお、仕事を選ぶ際は、雇用条件や福利厚生にも注意を払う必要がある。宿泊費や食事の提供はあるか、勤務時間や給与はどのようになっているかなどを確認しよう。