スポーツ 2020年06月16日 07時00分
阪神・バースの本名が明かされ話題に 意外に多い球界の改名、再起を図った現役監督、MLB時代のあだ名で登録された助っ人も
1983年から1988年にかけて阪神でプレーし、2年連続三冠王に輝くなど大活躍した助っ人打者のランディ・バース。そのバースについての逸話が、14日放送の『SPORTSウォッチャー』(テレビ東京系)で取り上げられ話題となっている。 >>阪神、練習試合でセ・リーグ首位も喜べない? 新助っ人が露呈した不安、矢野監督も“投手頼み”に舵を切るか<< 番組で取り上げられたのは、バースの本名は「バス」だが事情により登録名が「バース」に変更されたという逸話。番組によると、改名の理由は球団親会社の阪神電鉄がバス事業を手掛けていたこと。バースの成績に応じ「阪神バス大ブレーキ」、「阪神バス大爆発」といったイメージを損なうような見出しが使われる可能性があると、複数のスポーツ紙記者が指摘したことが改名につながったという。 今回の放送を受け、ネット上にも「バースって本名じゃないのか、当時まだ生まれてないから知らなかった」、「確かにバス爆発とか出されたら一般の人は大事件が起こったって勘違いするよな」といった反応が寄せられていたバースの逸話。過去を振り返ると、バースと同じく本名とは異なる名前を登録名とした選手は他にもいる。 阪急・オリックス(1983-1991)、ダイエー(1992)で活躍したブーマーは、本名が「グレゴリー・デウェイン・ウェルズ」で、どこにもブーマーという名前は入っていない。なぜ登録名がブーマーになったかというと、ブーマーは阪急入団前年までMLB・マイナーでプレーし、マイナーで本塁打を連発し“ブームを呼ぶ男”という意味で「ブーマー」というあだ名で呼ばれていたからだと、当時報じられた。ブーマーはNPB10年間で「.317・277本塁打・901打点・1413安打」とあだ名通りともいえる成績を残した。 中日(2000)でプレーしたディンゴも、本名は「デビッド・ウェイン・ニルソン」と全く違う名前。これは当時の球団幹部がスポーツ紙に「ニル損」と書かれることを回避するため、ディンゴの母国・オーストラリアに生息するイヌ科の動物「ディンゴ」にちなんで登録名にしたといわれている。ただ、ディンゴは18試合で1本塁打と不振にあえぎ同年8月に退団したため、この珍しい登録名も1年で消滅している。 本名とは違う登録名を用いているのは助っ人に限った話ではない。現在阪神の指揮を執る矢野燿大監督は、現役時代の2009年オフに同年の不振からの復活をかけ、姓名判断を元に登録名を本名の「矢野輝弘」から「矢野燿大」に改名。矢野監督は翌2010年にさらに成績が下降し同年限りで引退するが、その後現在に至るまで改名後の名前を使用し続けている。 NPBでは西武(2004-2011)、ロッテ(2013-2014)でプレーしたG.G.佐藤は「佐藤隆彦」が本名だが、故・野村克也さんの妻だった故・沙知代さんが由来で「G.G.佐藤」という登録名を用いていた。佐藤は中学時代に沙知代さんが関わっていた少年野球チームに所属していたがあるとき、沙知代さんから「ジジイじゃないんだからシャキッとしなさい」と言われたとのこと。それ以降「ジジイ」、「ジージー」といったあだ名で呼ばれるようになったことから、プロでもアルファベット表記を交えた「G.G佐藤」という登録名を用いたという。 現在でもオリックス・T-岡田(本名:岡田貴弘)や日本ハム・金子弌大(本名:金子千尋)など、本名ではない登録名を用いている選手が複数いる球界。一般的に改名が行われるのはシーズンオフの時期だが、今オフはあっと驚く改名に踏み切る選手は現れるだろうか。文 / 柴田雅人