社会 2022年12月21日 08時00分
小池都知事、岸田総理を意識?「ソーシャルファームは新しい資本主義」働きづらさ抱える人を支援
小池百合子東京都知事が20日、都内で開催された「Tokyo Tokyo ソーシャルファームフォーラム2022」に出席し、働きづらさを抱える人の支援について語った。 >>全ての画像を見る<< 第1部で挨拶に立った小池知事は「就労に困難を抱える方々が個性と能力を発揮して働くソーシャルファームを誕生させたいとの思いから都独自の条例を制定し、認証制度をスタートしました。障がい者のほか、ひとり親、引きこもりなど困難に直面する方々が活躍し、コロナ禍や物価高騰など厳しい状況の中で、ソーシャルファームの設立に粘り強く取り組まれた皆様の尽力に敬意を表したい」と話し、関係者に感謝の意を伝えた。 さらに「最近何かと言うとスタートアップという言葉が聞こえてきますが、ソーシャルファームをスタートアップすることは、まさしく新しい資本主義の典型ではないか」と述べ、「雇用機会のさらなる拡大に取り組み、ソーシャルインクルージョンの輪を広げていきたい。苦労を重ねてこられた皆さんが、新しい段階に進まれることを期待しています」とエールを送った。 ソーシャルファームジャパンの炭谷茂理事長は「社会の閉塞と分断が進む中で、障がいを持つ人や引きこもり、ひとり親家庭の親御さん、元受刑者の方々が社会から孤立し、排除される状況が深刻化しています。ヨーロッパではソーシャルファームが盛んになり、オランダでは2015年から一定の能力がある人は、福祉ではなく一般就労する法律が施行されました。国連は日本政府に障がい者の一般就労を勧告しており、多様性が尊重されるインクルーシブな社会の中核がソーシャルファーム」と意義を説明した。 第2部ではお笑いコンビ「髭男爵」の山田ルイ53世が登壇。定番ネタの「ルネッサーンス!」で盛り上げた。ソーシャルファームについては「居場所があると思ってもらえるのが肝ですね。自分は中2から20歳まで引きこもっていたので、空白の履歴書をリアルに体験して悩んでいました。こういう制度があると働きづらさを抱える人の窓口が広がるし、敷居も下がる」とコメント。「お笑い界も貴族の漫才師がいるくらいだから多様性ですね」とボケつつ、「今の社会や働き方にしんどさを感じている人はたくさんいると思ってて。今の社会は一度道を外れると戻って来づらい暗黙のルールというか空気感があると思うので、そういうのを取っ払って、また戻って来られる循環があるといいですね」と持論を語った。 フォーラムでは、ソーシャルファームに取り組む企業・法人の事例も紹介。株式会社アメディアは、視覚障がい者の外出支援アプリ「ナビレコ」事業を展開している。望月優代表取締役は「ナビレコを使った方から、今まで行ったことがないところへ行けたという声をいただいた」と手ごたえを語った。(取材・文:石河コウヘイ)