社会 2025年12月03日 14時55分
産経新聞運営のネットメディアが記事盗用 揺らぎ始めた大手新聞社の信頼
産経新聞社が運営するインターネット媒体「emogram(エモグラム)」は2日までに、他社の記事を盗用した事例が5件あることを発表した。「知的財産権を尊重すべき新聞社のネット媒体であるにもかかわらず、他社の著作権を侵害する事態を招いたことについて深くお詫びいたします」と謝罪した。エモグラムは今年5月20日に開設。インフルエンサーやエンタメ、動物などに関わる話題をテーマとし、「主にニュースを報じる一般紙やニュースメディアのサイトとは異なる切り口のコンテンツで構成される新しいメディアを目指しています」としている。盗用は、ネット上の元記事をコピーし、語尾を少し変えるなどしており「引用の範囲を超えて記事を作成していました」と説明している。盗用が判明したのは5本の記事。「【称賛】スーパーマーケット『ベルク』レジ打ち姿勢を改革『お客様はもちろん従業員のことを考えられる会社』(11月17日配信)」「【珍事】犯人が目の前にいるも郵便物盗まれる!! 目的などすべてが不明(同19日配信)」「【さすがの声】時刻表のQRコード化に『スマホ持たない人への配慮、もっと必要!』『通信環境悪い人は完全に置いてけぼりじゃん』(同20日配信)」「『マリンの風が無くなるのは少し残念だがね』ZOZOマリンスタジアムついに〝ドーム化?〟(同20日配信)」「つば九郎 is back!!【ファン感で突然発表】『神宮がまたどよめきと笑顔に包まれるの今から楽しみすぎる』(同25日配信)」となっている。盗用した元記事は、まいどなニュース、読売新聞オンライン、J-CAST、千葉日報オンライン、スポニチアネックスと公表している。産経新聞社は当該5記事を削除した。大手新聞社である産経新聞社の運営するメディア媒体での盗用は波紋を呼んでいる。だが、産経新聞に限らず過去にも新聞社の不祥事は少なくない。1989年に朝日新聞社カメラマンが沖縄県西表島で、珊瑚(さんご)に「K・Y」と自分で彫り、落書きがあったかのように偽装。写真をもとに新聞記事を掲載したため「サンゴ事件」として今も捏造報道があるたびに話題に上る。産経新聞社広報部は、「今後、再発防止策として、編集部内で法的理解の醸成、具体的な判断基準などに関してライター、デスクに対する教育・研修をさらに充実させていきます」とコメント。新聞をはじめとする“オールドメディア”の信頼が大きく揺らぎ始めている今、正しい情報を取捨選択する力が求められる。