スポーツ 2021年05月01日 11時00分
巨人投手の左フックで中日打者が流血! 放棄試合の危機を招いた“ヘビー級”大乱闘、4年後も当事者は「口もきかん」仲介も拒否?
3月26日の開幕から約1カ月が経過し、ゴールデンウィーク(GW)期間の戦いに突入している今季のプロ野球。一部球団は今季初の9連戦が組まれているため、前半戦の戦いを占う重要な期間といえるだろう。 休日が続くこともあり、その分ファンの注目も大きくなるGW期間の試合。そのGWの時期に、両チームが入り乱れる大乱闘が勃発した試合が過去に行われている。 1996年5月1日、ナゴヤ球場で行われた巨人対中日の一戦。同戦は巨人が序盤から小刻みに得点を奪い、5回表終了時点で「6-0」とリード。その裏、巨人先発・ガルベス攻略の糸口をつかみたい中日は山崎武司が先頭打者として打席に入るが、ガルベスから頭部をかすめる直球を投げられ転倒してしまった。 すると、この球に激高した山崎はマウンドに詰め寄り、ガルベスも左手のグラブを地面に投げ捨て山崎に歩み寄る。マウンド前方で対峙した瞬間ガルベスは山崎に左フックをお見舞いし、山崎もヘッドロックで応戦。そこに両軍ベンチから飛び出した選手・コーチがなだれ込み一気に大乱闘に発展した。 マウンド前方に形成された乱闘の輪は一度三塁側方向に流れると、次は一塁側に移動するなど両チームの押し合いへし合いはしばらく収まらず。この間、中日の一部選手がバットを手に密集を分け入ろうとし、それに気づいた巨人コーチがすぐにバットを取り上げ後方に投げ捨てる一幕もあった。 乱闘の輪の中からガルベス、山崎が引き離されて乱闘は沈静化したが、ガルベスはユニフォームのボタンが一部引きちぎられた状態で山崎も口から流血。両者がベンチに下がった後、審判団は両者に退場を宣告した。 ところが、この直後巨人・長嶋茂雄監督はガルベスの退場を不服とし、自軍選手を全員グラウンドから引き揚げさせる行動に出る。放棄試合も辞さないこの行動を受けた審判団はすぐに説得にあたり、約30分後にようやく長嶋監督は説得に応じ試合は再開された。 試合はその後「9-4」で巨人が勝利したが、セ・リーグが翌日にガルベス、山崎両名に「厳重戒告、罰金10万円」という処分を科した。当時の報道によると、前の回に同僚・小島弘務が巨人・落合博満に死球を与えたため、山崎は次の回に報復として危険球を投げられるのではと予想。そのため、打席に入る前に「(危険球)来たら(乱闘)行きますから」と首脳陣に宣言していたという。 なお、後年の報道によると、山崎はその後2000年まで巨人でプレーしたガルベスとは「最後まで口もきかんかった」とのこと。2人そろって選出された1996年のオールスターでは、同僚・大豊泰昭が仲介役を名乗り出たというがこれも頑なに断ったという。 当時ガルベスが体重107キロ、山崎が86キロだったことから、“ヘビー級同士のバトル”とも言われた大乱闘。新型コロナウイルスが流行している現代ではまずお目にかかれないアクシデントだろう。文 / 柴田雅人