社会 2023年05月12日 06時00分
デトックス効果を促す“カンボ治療”受けた女性が死亡 カエルの毒を体内に入れる
カエルの持つ毒を体内に入れて、デトックス効果を促す「カンボ治療」。日本でも某女性有名人が、この治療を受ける動画をSNSに投稿して話題となったが、海外では死者が出ているようだ。 オーストラリア・ニューサウスウェールズ州で、カンボ治療を受けた女性が直後に意識を失い死亡した事故で死因審問が開かれ、女性の死因が明らかになった。海外ニュースサイト『ABC net』『Daily Beast』などが5月2日までに報じた。 報道によると2019年2月末、同州在住の当時39歳の女性がカンボ治療の施術師になるため、2週間にわたり訓練を受けていたという。女性はスピリチュアル・ティーチャー兼実業家と自身を名乗っている。同年3月8日、訓練コースを終えて、先輩施術師の女性A(年齢不明)の自宅で技術習得の確認儀式が行われた。Aはアロマキャンドルを使い、女性の腕や腹部に5か所の小さなやけどを作ったという。 >>医者と患者が不倫、男性器にコカインを仕込んで女性が死亡 傷害致死で有罪<< カンボ治療は、やけど痕にカエルの粘液(以下毒)を塗り込み体内に吸収させる。治療で使われるカエル毒は、南米に生息するフタイロネコメガエルの粘液で、当時はネットでも入手可能だった。毒が体内に吸収されると、吐き気やめまいが訪れる。カンボ治療は、繰り返し嘔吐して、体内を浄化させることで、デトックス効果を得るものだ。 毒を塗り込んだ女性は、直後に具合が悪くなったという。手が震え、唇が青く変色。しばらくして意識を失ったという。救急隊が駆けつけるも、女性の死亡が確認された。女性の司法解剖が行われ、最近開かれた女性の死因審問でその結果が公表された。医師らによると、女性の死因は急性心不全だ。毒の摂取によって引き起こされたものだという。女性の体には60か所以上のやけど痕があったが、心臓疾患などの既往症はない。医師らの話では、カエルの毒を摂取しても医学的な効果はなく、逆に心臓や、肝臓、胃に悪影響を与える危険性を指摘している。 なお本事件から2年後の2021年、オーストラリア保健省の薬品・医薬品行政局は「カンボ治療には医学的に有益な点はなく、死亡の可能性もある」などと発表。発表を受けてオーストラリア政府は、カンボ蛙の粘液の販売、使用を法的に禁止する措置を講じたという。 このニュースが世界に広がるとネット上では「健康な人が毒を摂取する必要はないと思う」「スピリチュアルに傾倒する人は要注意人物」「私は自然食品好きだけど、カエルの粘液は抵抗ある」「寄生虫とか大丈夫なのか?」「アルコール、麻薬、カエル毒もみな同じ麻酔薬。一回やるとやめられない。単なる薬物中毒者」「バカにつける薬はないな」といった声が上がった。 ちまたで話題のカンボ治療は、臓器への負担が大きいようだ。デトックスをしたい場合は、他の方法を試した方が良さそうだ。記事内の引用についてNatasha Lechner died minutes after using frog poison in 'Kambo' vomiting ritual, inquest told(ABC net)よりhttps://www.abc.net.au/news/2023-05-02/natasha-lechner-kambo-frog-poison-death-inquest/102293592Court Hears Final Words of Woman Who Died in Giant Monkey Frog Mucus Ritual(Daily Beast)よりhttps://www.thedailybeast.com/kambo-court-hears-final-words-of-woman-who-died-in-giant-monkey-frog-mucus-ritual