というのも、正直、私自身がノーチェックだったから。タイトルの「黒い司法」に引かれるものがなく、しかも上映時間が137分と長い! でもでも、最初こそ少し躊躇しましたが、見終わって思ったのは「めっちゃくちゃ、いい映画じゃん!」。サブタイトルの『0%からの奇跡』も、オリジナルタイトルの『JUST MERCY(ジャスト・マーシー)』よりも分かりやすく、変えて正解です。
本編といえば、ジェイミー・フォックスの抑えた演技が素晴らしく、マイケル・B・ジョーダンの頑張る演技も応援したくなる! 物語にどんどんのめり込んでしまい、あっという間の137分! アメリカでは、永遠のテーマである白人と黒人の差別問題。強がる白人にイラッとしながら、どこか諦めていた黒人の気持ちが心を震わす。実話に基づいているから、さらに胸が痛くなります。
新人弁護士ブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は、有名大学のロースクールを卒業し、人権運動に携わることを決めた。同じく、受刑者の人権保護活動のために頑張る女性、エバ(ブリー・ラーソン)と一緒に、小さな事務所を立ち上げます。
受刑者である黒人のウォルター・マクミリアン(ジェイミー・フォックス)は、白人女性を殺した罪で死刑判決を受けていたが、驚いたことに証拠は一つもなし。検察側は誘導尋問でウォルターを犯人に仕立てていたが、この3人が出会ったことで、真実への道が大きく動いていくのです。
諦めないで正しい証拠を掴む大切さ、人を信じる大切さ、また、行動で表すだけでなく、気持ちや“人”で繋がっていることを改めて感じる映画です。
皆さんも、仕事で追われる日々の中、“人のことを思う”気持ちを忘れていませんか? 与えられたからやる仕事もたくさんあるとは思いますが、「これで何かが変わる」と思ったら、それに突き進むパワーと勇気はとても大事。これがルールだからとか、前例がないからやらないとか、責任逃れの日本社会は、そろそろ変わる時かもしれません。
法廷ものや人種問題の映画って難しい印象がありますが、これはとても分かりやすかった。皆さんも、女性のパートナーを誘ってみては? 叶えきれていない夢とか、いつもと違う会話が生まれる気がしますよ。
画像提供元:(c)2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
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■黒い司法 0%からの奇跡
監督/デスティン・ダニエル・クレットン 出演/マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、ブリー・ラーソンほか 配給/ワーナー・ブラザース映画 2月28日(金)ロードショー。
■黒人への差別が根強い1980年代のアラバマ州。身に覚えのない罪で死刑宣告された黒人のウォルター(ジェイミー・フォックス)を救うため、新人弁護士のブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は奔走する。しかし、仕組まれた証言、白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の差別と不正がブライアンの前に立ちはだかる…。
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LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。