ロシアになぜコロナウイルス感染者が異常なほど少ないか。それは「ウオッカを飲むから」だという説を唱える人がいる。その一方で、ロシアは世界で最も寿命が短い50カ国の中に入っているのだが、その最大の原因がウオッカともいわれている。
ロシア人男性の平均寿命は66.5歳で、日本人男性の平均寿命である約80歳に比べるとかなり短い。またロシア人女性の平均寿命は77歳であり、男性の平均寿命とは10年ほどの差がある。さらに男性の25%が55歳に達するまでに死亡していることも分かっている。
モスクワにあるロシアがん研究センターと英オックスフォード大学、そしてフランスにあるWHO国際がん研究機関の研究者たちは、ロシア国内3都市における15万人の成人の飲酒を最長10年間にわたって追跡調査した。その結果、ウオッカを多く飲む人ほど死亡リスクが高くなることが分かったという。
「ロシア人が大量に飲酒するのは、寒さのせいだと唱える人もいますが、それは単なる言い訳。本当の要因は、国としてのライフスタイルだということです。ロシアでは子供が風邪をひくと、ウオッカに蜂蜜とバターを入れ、温かくしてスプーンで飲ますという習慣があるのです。それを飲むと風邪はすぐに治る。ウオッカはウイルスの感染を防ぐ力を持っているからです。もちろんウオッカだけではなく、ウイスキーなどアルコール度の高い酒類は解毒作用、消毒作用がありますが…」(ロシアウオッチャー)
アルコール度数の高い酒から消毒液は製造できる。だから消毒性があるウオッカを愛飲する習慣があるロシアでは、ウイルスに感染する国民は少ないという強引な論法も可能だ。だからと言って「今日からコロナウイルス予防のためにウオッカをガブ飲みしよう」というのはやめた方がいい。感染防止より“アル中”の方が心配だからだ。