午前10時すぎ、開催場所の主である藤井英治若頭補佐(五代目國粹会会長=東京)が早々に到着し、関東ブロックの直系組長らも姿を現した。足立区が事務所への使用差し止めを求める仮処分を、東京地裁に申請した渦中の良知二代目政竜会・竹嶋利王会長も出席。その表情から胸中を読み取ることはできなかったが、何らかの対応を迫られているのは間違いなかった。
また、六代目山口組が全体での定例会を休止して以降、ブロック会議で連携が図られており、必ず他ブロックの最高幹部が出席することになっている。今回は野村孝若頭補佐(三代目一会会長=大阪北)が上京。正午には会合が開始された。
約20分後、直系組長らが引き揚げ始め全員が帰途に就くと、警視庁の捜査員らも、警戒を解いたのだった。
「今回の会議では、竹嶋会長の拠点移転に関する話があったようだ。静岡県から東京に本拠を移し、再び東海ブロックに戻るのではないか」(関東の組織関係者)
足立区の拠点にダンプカーが特攻した事件は、松葉会系組員によるもので、山口組の分裂抗争とは無関係だった。それにもかかわらず、すぐさま足立区が使用差し止めを求めており、六代目山口組では軽視できない問題になったといえる。
「東京五輪を間近に控え、警察は異常なほど神経質になっている。今後は小競り合い程度でも、取り締まりを強化するだろう。もう東京に神戸山口組の直系組織はないが、山健組などの傘下組織は本拠を置いている。万一にも衝突が起き、東京都で特定抗争指定の警戒区域が定められたら、ほぼ全域になると予想される。だから、関東ブロックでは他の地域以上に揉め事に対してナーバスなはずだ。激化させないことが、重要になってくるだろう」(同)
都内では、これまでに神戸山口組との目立った事件は起きていないが、突発的な衝突が起こる危険性はある。直系組長らの険しい表情が、その緊張を物語っているようにも見えた。