新型コロナウイルスの影響で、北朝鮮には感染濃厚な地域からいまだ帰国していない労働者が多数いるとみられる。特に中国は北の労働者を大量に受け入れているから、中国からの帰国状況は全く不明だ。
「2、3年間、海外で働いてやっとテレビ1台を買って帰国できればいい方だといわれるほど、北の海外派遣労働者は“現代の奴隷”といえ、金正恩党委員長はその支配人です。それでも希望者は多い。海外である程度の自由な時間を過ごせるからです」(北朝鮮ウオッチャー)
正恩氏は父親の故・金正日総書記時代に倣い、外貨獲得の手段として積極的に海外に労働者を送ってきた。職種は主に鉄道・道路建設やレストラン、鉱山、森林業などだ。
「最初の主要な派遣先はロシアでしたが、1970年代に入るとアフリカ諸国に派遣するようになり、90年代には欧州と中東諸国に、そして2000年代からは中国やモンゴル、東南アジア諸国へと派遣先が拡大されていったのです」(同・ウオッチャー)
北の海外労働者の派遣先は、最も多いときは45カ国に達したが、13年段階で総数約5万人〜6万人が16カ国に派遣されていた。
「国連の資料によると、対北制裁前にロシアや中国など29カ国に約10万人の労働者が派遣され、年間約5億ドルの外貨収入があったと記録されています。ロシアでは主に鉄道建設や森林労働者として従事させられ、中国ではレストランで働く北のウエートレスが多い。また、北京では韓国人が経営するレストランで北労働者が働いているのが目撃されるなど、問題視されています。北労働者は中国人が嫌う、厳しく(difficult)、危険(dangerous)で不潔(dirty)な『3D』で働きます。北側当局は中国に送る労働者に対しては脱北を警戒し、その選別を厳しくしている関係で、ほとんどが正恩氏に忠誠を誓っている朝鮮労働党員です」(国際ジャーナリスト)
北朝鮮の党員は悲し過ぎる。