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キャバ嬢がキレる瞬間(18)新人嬢が人気嬢になるまで

 スカウトに連れられて新規オープンのキャバクラの面接に行き、素人の自分でも大丈夫なのかと不安になりながらも、理恵は借金完済のための道が開けたと思い、しかもちょっとだけ憧れていたキャバ嬢に自分がなれるということに喜びを感じていた。

 借金も返して、まとまったお金が出来たらすぐに辞めて当時付き合ってた彼と結婚しようと思っていたので、期間限定で自分を試すいい機会だった。

 新規オープンと言っても、既存店のリニューアルだったので古株の嬢たちも数名既に在籍していた。そこに理恵をはじめ、応募で入ってきた新人嬢たちが数人。接客の仕方は古株の嬢たちに教わったが、それでもいざ本番となると、緊張を隠すことができなかった。オープン初日、理恵はボーイが指示する席に言われるがまま、あちこちついて接客を頑張った。感じのいい客もいれば、指名の子が他の席にいったことをヘルプの子に当たり散らす客もいたり、新人とみるやいなや、胸など触ってくる客もいた。それでもまだこの辺りまでは初日とはいえよく我慢できたほうだと理恵は我ながら思った。

 数日後、古株の嬢の指名客でガラの悪い男の席につくことになった際、理恵は緊張のあまり客のブランデー入りのグラスに間違えて麦茶をいれてしまった。必死で謝る理恵に、男は「バカかこの女! 酒に麦茶とかいれやがって!」と罵声と酒を浴びせた。そこに指名の古株嬢、ヒトミが帰ってきたが、理恵を助けるどころか自分には関係ないとばかりに、煙草を吸っているだけだった。

 「おう、お前死ねよ、死ね」しょせん酔っ払いのいうことなので、ベテランの嬢なら、「はいはい死んじゃう」くらい言ってあしらうが、嬢歴一週間もない理恵にそんなスキルはない。

 店側はこういうとき、守ってくれないの? 先輩の嬢だって、どうしてなんであんなに冷たいの? 大体、キャバってお触りできない場所なのに、なんで触るの? だったら風俗でもいけばいいのに。もうやめてやる!

 と、理恵は心が折れたのだった。

 同じように脱落する嬢もいて、新規オープン組は早くも半分に。理恵も店長にやめることを願い出た。借金を返すのが遅くなるだけだが、こんな思いをするよりはましだ。しかし店長は「まだ一週間だろ? もうちょっと辛抱しようよ」といって、とりあってくれない。それでも辞めたいといえば、今日までのお給料は来週までいないと払えないと言われる始末。ただ働きなんて冗談じゃないと思った理恵はあとちょっとの辛抱だと、営業に挑むのだった。

 すると、その日理恵指名の客が現れ、店長に「な? だから辛抱しろっていったんだよ」と、にやりと笑って言われた。理恵はまだ実感がわかなかったが、この初めての指名を機に、「一生懸命やったらちゃんとこうして結果になるのね」と、少しずつ笑顔が戻ってきたのだった。

 それからもう一人、また一人、と、理恵指名の客が現れ、店はまたたくまに理恵の指名客で埋まりだした。

 ちなみに、理恵はそこから3年その店に在籍し、売上ナンバー2までの地位に上り詰め、借金も完済したらしい。もっとも当時の彼とは別れてしまったそうだけど、理恵にとっては人生を多少なりとも左右した期間だったとか。

文・二ノ宮さな…OL、キャバクラ嬢を経てライターに。広報誌からBL同人誌など幅広いジャンルを手がける。風水、タロット、ダウジングのプロフェッショナルでもある。ツイッターは@llsanachanll

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