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ウッチャンも激推しの℃-ute岡井千聖 ブレイクの鍵は“ガチバカ”素質

 6月20日、「℃-uteコンサートツアー2016春〜℃ONCERTO〜」の千秋楽として、武道館公演を成功させた℃-ute。翌日はメンバーの岡井千聖の誕生日だったため、アンコールでは彼女のメンバーカラーであるグリーンのサイリウムと、満場の「千聖!」コールで埋め尽くされた。この岡井千聖こそ、ハロー!プロジェクトの最年長グループである℃-uteをさらなる高みへと押し上げる重要なキーマンになると見るファンは多い。リーダーの矢島舞美や、モデルとしても活躍する鈴木愛理ではなく、なぜ岡井千聖が?

 2005年6月に結成、今やハロプロだけでなく、アイドル界全体の“長女”的存在となった℃-ute。歌唱・ダンス能力ではアイドル界トップとの呼び声も高く、先の武道館公演にはNMB48の山本彩らも訪れるなど、「アイドルから憧れられるアイドルグループ」と言っても過言ではない。ビジュアル面においても、5人のメンバー全員がカワイイ。アイドルグループで「全員がカワイイ」というのは、実は珍しいことなのだ。しかも、℃-uteはそのバランスがいい。似たような系統の顔が揃っているよりも、幅広い好みに対応できるバランスのよさは、大きな強みだ。

 経験、実力、ビジュアルと、「穴」を見つけることが難しい℃-uteがさらに上を目指すとき、強いて弱点をあげるとしたら「一般的な知名度」だろう。非ハロプロファンであっても、「アイドル好き」なら℃-uteの名前を知らない者はいないはず。しかし、「一般」における知名度となると、48グループや坂道シリーズ、ももいろクローバーZ、そして同じハロプロのモーニング娘。'16らには遠く及ばない。

 鈴木愛理がモデル活動で女性ファンの裾野を広げてはいるものの、アピールが届いているのは一部の若い女性層のみ。一般層まで知名度を広げるには、やはり「テレビ」への露出・活躍が必須だ。それを証拠に、℃-uteは知らなくても、同じハロプロのカントリーガールズの「嗣永桃子」の名前なら知っている人は一般層にも多いだろう。

 そんななか、グループの知名度を全国区にすべく、期待を一身に受けているのが、6月21日に22歳の誕生日を迎えたばかりの岡井千聖なのだ。実際、このところの岡井のテレビでの活躍ぶりは、目をみはるものがある。6月に入ってからだけでも、ざっと挙げただけで『1周回って知らない話』(日本テレビ)、『オトナヘノベル』(NHK Eテレ)、『エンタメサーチバラエティ プレミアの巣窟』(フジテレビ)、『人気者から学べ そこホメ!?SP』(フジテレビ)、『優しい人なら解ける クイズやさしいねチーム対抗戦SP』(フジテレビ)などなど。6月28日にも、フジテレビの『人気芸能人にイタズラ! 仰天ハプニング100連発』に出演。その後も、『どっきり3時間SP』や『ダウンタウンDX』にも近日中の出演する予定だ。すべて岡井単体での出演で、もはや「売れっ子タレント」と言っていい。

 近年、単独での仕事が増え、事務所から「押されている」感もある岡井だが、はじめから猛プッシュを受けていたわけではない。2010年、当時流行っていた「踊ってみた」動画を本人としてYouTubeにアップ。その後も後輩メンバーを従えて「Team岡井」を結成し、モーニング娘。のナンバーを踊るなど、地道なところから積極的にチャンスを広げてきた。天真爛漫なキャラクターから、「努力」のイメージは感じにくいかもしれないが、実際にはコツコツと蒔いてきた種が数年かけて花開き、今、実を結ぼうとしているといったところだろう。

 岡井千聖がバラエティー番組で“ハマった”要因のひとつは、なんといっても「おバカ」なキャラクターだ。正確には、キャラではなくガチのおバカ。狙ったおバカキャラではないため、いくらボケ倒しても嫌味にならない。「ガチなバカ」をネガティブなものにさせていないのは、どこまでも明るい性格があってこそだ。昨今のテレビ界は、お笑い芸人を中心に制作されているのは間違いない。彼らにとって、「おバカ」のようにツッコミどころがある相手は、話を振りやすい存在なのだ。いくらかわいくても、ツッコミどころがないアイドルは、バラエティーで生き残るのは難しい。

 いくらツッコミどころがあっても、リアクションが悪ければ、これも長生きはしない。ツッコまれたときに気の利いた言葉で返す、頭の回転の速さが求められる。ガチバカの岡井千聖も、バラエティー番組では成績優秀者ということだ。加えて、エピソードトークに強いのも、岡井が引っ張りだことなっている要因だ。しかも、「父親の浮気癖を直して欲しい」「19歳年下の弟ができた」など、芸人のように身を削った話がどんどんでてくる。おバカゆえ、ときには失言や暴露めいた言葉をポロッとこぼすことも。回し役の芸人や制作サイドにとっては、とりあえず置いておきたいタレントだろう。

 バラエティー番組での活躍ぶりとは一見結びつきにくいが、ダイエットに成功した点も大きい。今でこそ、ベストな体型をキープしている岡井だが、数年前には夢遊病のように夜食を口にし、中年のオバサンを思わせるポッチャリ体型だった時期も。テレビ局側にしてみれば、いくらおもしろい発言をしても、ビジュアルがオバサンならば、わざわざアイドルを起用する意味はない。見た目はアイドルなのに、笑えるキャラやエピソードを持っている。そのギャップがあればこそ、女芸人ではなく、アイドルを起用する意味が出てくる。岡井自身はバラエティーを意識して痩せたわけではないだろうが、結果としては大正解だ。

 ギャップという面では、歌唱力の高さも彼女の大きな武器だ。℃-uteのなかでの岡井は、鈴木愛理と並んで歌の核となる存在。バラエティーでの「おバカな岡井千聖」しか知らない人は、ステージ上の彼女を見て驚愕するはずだ。そのショックから、℃-uteやハロプロに関心を持つ人も多いはずだ。

 業界内での「岡井千聖」の評価は高い。ウッチャンナンチャンの内村光良も彼女を激推しだとか。矢口真里の席が空いている状況も手伝い、このままバラエティー番組での活躍が増えれば、全国区の知名度も充分期待できる。ただ、おバカなだけにいささか不安なのが、「暴言、失言」の類いだ。サービス精神ゆえの過激な発言で、いらぬバッシングを引き寄せることのないように気をつけて欲しい。とはいえ、気にしすぎれば天衣無縫なおもしろさがなくなる。難しいところだ。

 また、ファンにとっては、テレビ出演で交際範囲が広がっていけば、男性絡みのスキャンダルが心配になるのかもしれない。22歳になり、大人としての自覚も芽生えてきているはずだが、自他ともに認める「お酒好き」の岡井のこと。酔った勢いでハメを外すことのないよう、周囲のスタッフにも“それなりに”目を光らせてもらいたい。

【リアルライブ・コラム連載「アイドル超理論」第33回】

*写真 岡井千聖 ℃-uteオフィシャルブログ Powered by Ameba

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