正午から16時までは、一般開放。開場前から多くのファンが押し寄せ、最初は2時間待ちだった列が、最高で4時間待ちになった。年齢層は実に幅広く、男性同士はもちろん、制服のまま駆けつけた男女学生や、家族ぐるみ、カップル、主婦仲間、若い女性のグループなどさまざま。妹グループのチームしゃちほこ、長女グループのももクロのファンも献花に訪れた。りななん(松野さんの愛称)のメンバーカラーである青色の花束を手にするファンのなかには、青い靴、リボン、かばん、シャツ、リュック、公式グッズなどを身につけている者もいた。
最期のお別れを伝えるために、日本各地からファンが駆けつけた。関東近郊はもちろん、関西や九州などから、日帰りで来た者もいた。長い待ち時間を利用して、試験勉強に励む女子高生もいた。
この日の横浜は12℃前後で、ホール外で待つには耐えられる気温。しかし、外で3時間、さらにホール内のエントランスで1時間もひたすら待つのは、疲労が蓄積する。それでも、愚痴をこぼすファンは皆無で、係員の誘導もスムーズ。エビ中の人柄が反映されたようなお別れ会だった。
最大5,000人を収容する巨大ホール。そのエントランスとホール内では常時、エビ中の曲が流されていた。『仮契約のシンデレラ』や『ハイタテキ!』、『金八DANCE MUSIC』といったヒットナンバーのなかには、松野さんのソロ曲であった『できるかな?』もあった。1人の女性が子どもから大人に成長していき、やがてこの世を去り、天国で“あなた”と再び暮らしたいと望む歌詞のミディアムバラード。この歌詞を具現化する前に夭逝した松野さんには、心の底から悔やまれる。
青いカーネーションやバラ、デルフィニウム、カスミ草、アジサイなど4,000本で彩られた祭壇。その真ん中でニコリと微笑む写真は、8枚目のシングル『夏だぜジョニー』の宣材だ。明るく、美しい松野さんの笑顔は、ファンの寂しさをさらに誘った。献花をして、手を合わせたファンの多くは、こみあげる涙をこらえられなかった。
7人体制になったエビ中。メンバーはすでに活動を再開しており、りななんの想いを背負って、これからも歌って、踊っていく。“出席番号9番”を胸に刻んで――。(伊藤雅奈子)