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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第62回 日本の「世界一」

 大手マスコミではほとんど報じられないのだが、実は我が国は数多くの「世界一」を誇る国である。

 まずは「同一の国名」を使っている国としては、世界一古い。朝鮮半島の歴史書である「新羅本記」には、「670年、倭国が国号を日本と改めた」とある。670年といえば、天智天皇、壬申の乱、天武天皇の時代だ。これほど古くから国号(国家の呼称)が変わっていない国は、世界に日本国ただ一国である。
 無論、神武天皇から連なる皇統も、君主を頂く他の国と比べると桁違いに長い。

 男女総合の平均寿命も世界一高い(83歳)。WHOの統計によると、日本人の健康達成度評価は総合で世界一だ。
 また、2013年10月にOECDが公表した「国際成人力調査」によると、日本人は「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力(コンピューター調査を受けた者の平均点)」という三つの調査項目「全て」においてトップとなった。

 さらに、タイム誌が主要20カ国を対象に実施した「国家イメージ」に関する調査で、日本は'07年から4年連続第一位に輝いた。
 加えて、我が国の製造業の生産性、つまりは「労働者1人あたりの付加価値」もまた世界一である。
 ウォールストリート・ジャーナル紙によると、日本の製造業における従業員1人あたりの付加価値額は8750ドル(約90万円)で、ドイツやアメリカをしのぎ首位に位置している。

 さて、1月20日に内閣府が「国富統計」を発表したのだが、2012年末の我が国の国富は5年ぶりに増加し、対外純資産も過去最高の296.3兆円に達したとのことである。
 国富とは、生産資産、有形非生産資産、対外純資産の三つから構成される。
 定義を簡単に書いておくと、
 (1)生産資産=生産活動の成果として生み出され、かつ生産のために使用される有形資産であり、在庫と有形固定資産、無形固定資産からなる。
 (2)有形非生産資産=生産活動の直接の成果物ではない有形資産であり、土地、地下資源、漁場などからなる。
 (3)対外純資産=対外資産から対外負債を差し引いた後の資産の総額。差し引いた結果マイナスとなった場合には、「対外純債務(対外純負債)」の語が用いられる。
 となる。

 わかりやすく書くと、国民が「所得」を稼ぐための基盤であるインフラ、工場、建築物、設備等(以上、生産資産)と、同じく所得を稼ぐための基盤である土地、地下資源、漁場(以上、有形非生産資産)、さらに外国とのお金の貸し借りの収支である対外純資産から成り立っているのが国富だ。
 ちなみに、我が国の国富の「有形非生産資産」は、緩やかに減り続けているが、これは土地の名目値(金額)が下がったためである。
 バブル崩壊後、我が国の地価は下落を続け、「名目で見た有形非生産資産」という国富が縮小したのだ。別に、土地の面積そのものが縮小したわけではない。

 ところで、読者の現金預金などの金融資産は国富に含まれない。理由は、預金は読者にとっては資産だが、銀行にとっては負債であるためだ。
 国家全体のバランスシートで見れば、預金や現金といった金融資産は、借方と貸方に同額資産計上、負債計上されるため、相殺されてしまう。金融資産の中で国富に含まれるものは、「外国に貸しているお金(対外資産)」から「外国から借りたお金(対外負債)」を差し引いた対外純資産のみである。
 日本はこの「対外純資産」が22年連続世界一だ。つまりは「世界一のお金持ち国家」ということになる。

 日本が国家として世界一のお金持ち国家であることを、果たして日本国民、日本の政治家の何割が知っているだろうか。
 こう書くと、
 「日本国家は金持ちかも知れないが、国の借金(正しくは政府の負債)も世界一だ!」
 と、ウソの反論をしてくる人がいる。

 確かに、我が国の「自国通貨建て」の政府の負債は、1000兆円を超えている。とはいえ、現実には「世界の最大の負債を抱えている政府」はアメリカ連邦政府であり、日本政府ではない。リーマンショック以降の債務拡大の影響で、現在の「世界で最も負債が大きい政府」はアメリカ連邦政府なのである。
 もっとも、日本にせよ、アメリカにせよ、政府の負債は自国通貨建て(円建て、ドル建て)だ。自国通貨の発行権限を持つ独自通貨国の日米両国が、「自国通貨建て」の負債のデフォルト(債務不履行)に陥ることはない。

 いずれにせよ、
 「日本国が国家として見た場合、世界一のお金持ち」
 である事実を知っているのと知らないのとでは、国民の自国に対する「イメージ」が大きく変わってしまう。

 2月には東京都知事選挙が実施されるわけだが、上記の類の事実を認識しており、
 「世界一の日本を、さらに良い国にしよう」
 と、明るく語られる人物に次の東京都知事になって頂きたいと、一東京都民として心から希望する。
 自虐史観に侵され、「日本は悪い国だ…」「日本はダメな国だ…」などと間違った認識を持っている人物を都知事として頂くのは真っ平御免だ。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。

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