ミステリー 2023年07月09日 23時00分
火星の生物と地球の生物はDNAを共有している? 独自の起源を持つ生命体は宇宙のどこにいるのか
地球以外の惑星にも生命が存在している可能性は極めて高いとみられている。もちろん、知性を持つ高度な生命体が存在している可能性は低いかもしれないが、微生物などの生命体であれば生息している可能性は高い。 そんな地球外生命の可能性を調査している科学者たちが、氷に覆われた土星の衛星の表面から、生命が存在する証拠となりうる重要な化学成分が噴出している証拠を発見して話題になった。 惑星科学者のクリス・インピー氏は「土星の衛星のひとつで微生物が生きていることが発見されれば、宇宙に生命が存在する説を大きく後押しすることになる」とデイリー・スター紙のインタビューに語っている。 >>宇宙人とのファーストコンタクトは、公表されるまでに「数週間、数カ月」かかる!?<< 新著『Worlds Without End(終わりなき世界)』で他の惑星における生命の可能性を研究しているインピー氏は「火星における生命体の発見は、それほどエキサイティングなことではない」と述べる。 「火星から地球へ、そして確率は低いですが地球から火星へ石や岩が隕石という形で宇宙空間を移動することは可能です」 「ですから火星に存在する生命は、生化学的基盤や遺伝的構造が異ならない限り独立した起源であるとはいえず、地球の生命と似通っている可能性も十分に考えられます」 「しかし地球から遠く離れた土星の衛星であるエウロパやタイタン、エンケラドス、あるいは太陽系外縁部に生命が存在した場合は、ほぼ間違いなく独立起源であると言えるでしょう」 「ということは、生命は太陽系内で複数回誕生したことになり、銀河系の他の多くの場所にも存在することになります」 火星やエンケラドスから採取できたサンプルの中に、誤って地球由来の物質や生命体が紛れ込み、発見されないようにするのは非常に難しい。 しかしインピー氏は「ほとんどの宇宙船は発射台に到着する前に滅菌され、地球の大気を通過するときに再び滅菌されます。火星から持ち帰るサンプルは細心の注意を払って扱われるので、汚染の可能性はほとんどありません」と語る。 多くの人々にとっては残念なことかもしれないが、地球外生命体がどこで発見されようとも、その大半はエイリアンではなく、ほぼ間違いなく微小な生物だろうとインピー氏は語る。 「地球には、生命が陸に上がって進化を続け、植物や動物が発生する何十億年も前から微生物が存在していました」 「論理的には、我々のような文明や高度な生命体の前に微生物が存在することになりますから、こちらが見つかる可能性の方が高いでしょう」 「そして、もし私たちが自分たちの文明とよく似た文明を発見したとしても、すぐにその文明と交流したり、コミュニケーションをとったりするよりも、できるだけ多くのことを学ぶために、注意深くその文明を研究するでしょう」 「もし発見された生命体が我々より進化していないのであれば、我々はそれを導き、助けることができるでしょう」 インピー氏は自著の終章で、太陽に最も近い恒星とされるプロキシマ・ケンタウリの周りの惑星のひとつに将来有人のコロニーができるのではないかと推測している。 NASAの天体物理学者エリカ・ネスボルド氏をはじめとする一部の専門家からは、ここ地球での"生得権"から非常に遠く離れた惑星に人間が住まい、子どもたちを育てることについて倫理的な懸念を示す声が上がっている。 だがインピー氏は星への片道旅行の倫理についてはかなり楽天的に捉えており、「大人は選択し、権利放棄書にサインすることができる」と述べている。 一方で子どもたちに選択の余地はないが、「さまざまな境遇に生まれている彼らは唯一無二のパイオニアであり、それだけの価値があるのです」としている。山口敏太郎作家、ライター。著書に「日本怪忌行」「モンスター・幻獣大百科」、テレビ出演「怪談グランプリ」「ビートたけしの超常現象Xファイル」「緊急検証シリーズ」など。YouTubeにてオカルト番組「アトラスラジオ」放送中関連記事Martian life could share Earth DNA - but bugs on Saturn's moons would be 'new'(The Daily Star)よりhttps://www.dailystar.co.uk/news/world-news/martian-life-could-share-earth-30290510