ミステリー
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ミステリー 2020年04月11日 23時00分
世界的に有名になったエイプリルフールのジョーク・ニュース「スパゲッティの木」
4月1日はエイプリル・フール。毎年この日は嘘を吐いてもいい日ということで、企業や新聞がジョークの企画を行ったりしている。今年は新型コロナウイルス感染症のこともあり、例年ほど規模は大きくならなかったが、それでもクスっと笑えるネタを公開していたようだ。 さて、このエイプリル・フールのネタは時に発信側の意図を超えて大きな反響を呼んでしまい、多くの人がだまされてしまったり騒動が起きてしまったりすることが多い。中でも有名なものが「スパゲッティのなる木」だ。 これは1957年にBBCの時事番組「パノラマ」の中で放送されたニュースで、「スイスのルガーノ湖近くでは名産の『スパゲッティ』が豊作を迎えた」というもの。暖冬に加え、害虫のスパゲッティゾウムシの駆除もうまくいって豊作となり、伝統の収穫祭ではパスタにふさわしい完璧な長さのスパゲッティが収穫できるよう、株の交配と系統を開発するための育成議論が行われた…というもの。 当然ながらこの「ニュース」はエイプリルフールのジョークだったのだが、ニュース番組でもっともらしく取り上げられてしまったため、放送時は本気にしてしまう人々が続出。当時はイギリス国内のテレビ普及率は44%ほどだったにもかかわらず、放送翌日には数百件もの問い合わせが寄せられたという。 なお、このニュースはカメラマンのチャールズ・ド・イエーガーがオーストリアの学校で教師から「スパゲッティが木になると信じるほど愚かだ」という言葉を受けたのが印象深かったため、それをもとに今回のエイプリルフールのジョークを思いついたのだという。 あくまでジョークに過ぎなかったにもかかわらず、多くの人が問い合わせしてしまったのには当時のイギリスではスパゲッティがそこまで一般的ではなかったことに由来するとみられている。1950年代のイギリスで知られたスパゲッティは缶詰になったトマトソースのスパゲッティであり、珍味だと受け止められていたらしい。 問い合わせは放送の内容が真実かどうか確認するものだけでなく、「スパゲッティのなる木はどうやったら栽培できるのか」という育成方法や手に入れ方に関するものが多かったそうで、問い合わせを受けたBBCは「スパゲッティの小枝をトマトソースの缶に入れて、最高のスパゲッティができるように祈ってください」と答えたそうだ。 なお、当時放送された「スパゲッティの木」のニュースは今でもYouTubeで見ることができるので、気になる人は検索してみてみてはいかがだろうか。(山口敏太郎)参考記事http://hoaxes.org/archive/permalink/the_swiss_spaghetti_harvest
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ミステリー 2020年04月05日 23時00分
健康な人が感染症の感染源になることも 「腸チフスのメアリー」の事例
現在、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症。その対策が声高に叫ばれており、感染のリスクを下げるための「三密」、「密閉空間・密集場所・密接会話」を避けるよう徹底するようにという要請が出ている。外出自粛要請もその一つで、「換気の悪い密閉した空間」「多くの人々が密集する空間」「近距離での密接な会話等」を避ける事で感染症リスクを下げることを目的としている。狭く、換気の悪い空間に感染症の高いウイルス等を保有している人物が存在したと仮定すると、そこから一気に多くの人々に感染する可能性が高いからだ。そして、通常考えられる以上の二次感染例を引き起こす人はスーパー・スプレッダーと呼ばれる。 このスーパー・スプレッダーの事例で有名な人物に、「腸チフスのメアリー」という女性がいる。20世紀初頭、ニューヨークで腸チフスが小規模かつ散発的に流行するという事が相次いでいた。そんな中、ある富豪の家族が体調不良を訴え、家族や使用人らが腸チフスに感染している事が判明。その原因を調査してみたところ、ある女性の料理人が住み込みで働いて、後に腸チフスが発生していることが判明した。この人物こそが、後に「腸チフスのメアリー」と呼ばれる事になるメアリー・マローンだったのである。 彼女は料理がうまく、人柄も良かった上に全くの健康体であったため、本人は勿論、周囲も彼女が感染力のある腸チフスと関係があるとは全く思っていなかった。検査のための便の提供を求められたメアリーは激しく拒否し、逃げようとしたそうだが、彼女の便からはチフス菌が検出されたため、彼女が感染源だった事が判明したのである。彼女が毒性のあるチフス菌を長く保有したのにもかかわらず症状が出なかったのは、途中で免疫を獲得したことによる不顕性感染が起きたためと言われている。なお、彼女はその後、「食品を扱う職業への就業禁止」等を条件に自由の身となるが、偽名で産婦人科病院に調理人として就職。ここでも腸チフス感染者を出し、病院に隔離されることとなった。 現在流行している新型コロナウイルス感染症で、スーパー・スプレッダーが存在している・存在していた可能性は考えられるが、その特定は容易ではない(海外ではスーパー・スプレッダーと認定された患者の事例が報告されている)。とは言え、過剰に他者を警戒し、感染者と思しき人物を否定するに至ってはならない。また、既に新型コロナウイルス感染症で陽性反応が出た人や、治療に携わる医療関係者が必要以上に忌避されるなど、不当な差別が出てきているという報告もある。できる限りの感染症対策を行い、自分が周囲に拡散してしまう可能性についても考慮して、冷静に行動することが必要だと言えよう。(山口敏太郎)
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ミステリー 2020年04月04日 23時00分
新型コロナウイルス感染症は聖書の黙示録で予言されていた!?
現在、世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス感染症Covid-19。昨年12月に中国の武漢から発生して以来、世界中に広がり続けている。そんな中、「現在の状況は聖書の黙示録の内容に合致しており、世界の終わりが近いのではないか」という噂が海外を中心に囁かれ始めている。 問題の箇所は、聖書のヨハネの黙示録第6章で、終末の前に4人の馬に乗った天使が現れるというもの。白い馬の騎士、赤い馬の騎士、黒い馬の騎士、青ざめた馬の騎士がそれぞれ順番に登場し、「彼らには、地の四分の一を支配する権威、および、剣と、飢饉と、死と、地の獣らとによって人を殺す権威とが、与えられた」という記述になっている。 弓を持つ白い騎士は「勝利(支配)」を司り、侵略戦争を意味すると言われている。2番目の赤い騎士は「戦争」を司り、手に剣を持っていて人々を戦争に向かわせるという。3番目の黒い騎士は「飢饉」を司り、人々の食料を図る天秤を手にしている。4番目の騎士は青ざめた馬に乗った「死」そのもので、傍らには黄泉を引き連れており、疫病により大量の人が亡くなることを意味しているという。 この噂を信じる人々は、聖書と現在世界で起きている事を次々と関連付けており、「今年は黙示録の4人の騎士のうち2人がすでに出現している。戦争はイランとアメリカの確執で、病気はコロナウイルスの発生だ」という書き込みや、アフリカで害虫のサバクトビバッタが大量発生して食料不足が懸念されているため、「黙示録の騎士は既に3人が現れている」という意見等が出てきている。これらの噂から、ここ最近キリスト教圏で話題になっている終末思想の「携挙の日が近い」という話を出してくる人もいる。 しかし、この噂について大半のクリスチャンやキリスト教関係者らは賛同を示していないし、聖書の専門家は彼らが聖書の文面を理解していないと主張。今回の流行を安易に聖書と関連付けるべきではないという見方が一般的であり、彼らには冷静な視点と態度を取り戻すよう語っている。(山口敏太郎)
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ミステリー 2020年03月29日 23時00分
「2020年3月20日に人類が滅亡する」!?世間を騒がせたマヤ暦とインド歴の予言とは
先週、とある予言が日本を騒がせた。 それは「3月20日に人類が滅亡する」というものだ。 この予言は数年前に世界中で注目された「マヤ暦の予言」が関係している。非常に高度な天文技術を持っていた古代マヤ人は正確な暦を持っていた。暦には日数や太陽年を基準とした短期歴と長期暦があり、このうち長期暦が終わりを迎える日が現代の2012年12月21日(注・23日とする説もあり)に該当したため、「2012年に人類が滅亡する」という噂が世界中で巻き起こった。だが、この予言は現在の我々が知る通り、不発に終わった。そもそもマヤの暦は順還暦であり、日本の干支のように、最後まで進んだら再び新しく1から始まる暦だったので、暦が最後まで進んでも恐れる必要はなかったのである。 ところが、その後再び「マヤ暦の予言」は噂になる。なんと2012年に世界が終わり、人類が滅亡する日は、正確に計算すると2020年3月20日が該当する、という説が出てきたのである。 話はマヤ暦だけでは終わらない。このマヤ暦の予言を補強するように、マヤ文明から距離も時代も離れたインドに存在する寺院にもまた、「2020年3月20日」に終結を迎える暦が発見されたのである。この暦はインド北東部のアッサム州グワーハーティーに13世紀に建造されたナヴァグラハ寺院に存在するもの。そもそもこの寺院は人生に直接的な影響をおよぼすと信じられるナヴァグラハ(9惑星)を祀るもので、インド暦によれば「この世は消滅と再生を繰り返す4つの時代の周期で成り立っている」という。この周期は1280年ごとで、周期が終わるごとに世界は消滅と再生を繰り返すという。このインド暦を計算して現在の年代と照らし合わせると、これまた2020年3月20日が周期の終わりとなるのだ。マヤ暦とインド暦、2つの暦がともに「世界の終わり」を示したため、今度こそ世界が終わってしまうのではないか、と騒ぎになったのだ。 現実に戻すと、既に3月20日は無事に過ぎているので人類は滅亡しなかったわけだが、3月20日当日も「計算違いで次の日の21日が危ない」という声や、世界的な新型コロナウィルス感染症の蔓延をして、「これがマヤ暦やインド暦で予言されていたものだ」とする意見が出ていたりする。中には、3月20日を迎えるまでは声を大にして「危険だ」と煽っておきながら、何事も無かったと見るや、今まで何も言っていなかったように素知らぬ顔を決め込む者もいる。 結局、終末予言というものは人を不安に陥れるだけのものでしかない。「過去の予言の計算間違い、解釈間違いだった」という説もお粗末で、後出しジャンケンで的中させた事にしているのは、あまりに不誠実だと言えよう。(山口敏太郎)
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ミステリー 2020年03月28日 23時00分
新型コロナウイルスは宇宙からやってきた!?今流れている驚きの噂とパンスペルミア説
現在世界を席巻している新型コロナウイルス感染症。世界中が感染拡大阻止のために動いているが、あまりに発生が突発的だったこと、その後の急激な流行拡大から「新型コロナウイルスは人工ウイルスだった」という噂が出てきた。そしてさらには「新型コロナウイルスは宇宙からやってきた」という説まで登場したのである。 この説はバッキンガム天体生物学センターのチャンドラ・ウィクラマシンゲ教授によって提唱された説をもとにしている。インフルエンザウイルス等の複数の病原体は宇宙から地球に飛来し、大気の対流によって世界中を回る、そして地上に降り注ぐことで、局地的な流行が発生するという説だ。 過去に起きた新型インフルエンザが大流行した事例で、大都会と人の行き来が少ない奥地で同時に流行したというケースがあり、この時に空気の動きを調べたところ、インフルエンザ感染者数のデータと合致した…というものだ。 また、地球の生命の起源に関する仮説で「パンスペルミア説」というものがある。曰く「原始的な生命体、ウイルスや微生物などは宇宙に広く存在しており、それが地球に到達したことで生命が発生する」というもの。あくまで仮説にすぎないが、火星からも生命の痕跡が発見されたり、過去に宇宙から飛来した隕石からバクテリアの化石らしきものが発見されたこと。また地球に生息している微生物のクマムシは真空中など過酷な環境で生き延びることが可能なのだが、そのDNAを解析したところ、17.5%にも相当する大量の外来DNAが発見されたという報告もあった。 これらから考えると、「新型ウイルスは宇宙からやってきた」という説も正しいように思えてしまうが、証拠が見つからないことなどから仮設の域を出ることはない。 ちなみに「新型ウイルス宇宙飛来説」は今回のCovid-19より前のSARSの際にも唱えられ、さらには医学専門誌の「The Lancet(ランセット)」にも掲載されたことがあった。しかし、現在ではSARSの原因となったウイルスはハクビシンやタヌキなどの野生動物が発生源であることが確認されていることもあって、現在では否定されている。(山口敏太郎)
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ミステリー 2020年03月22日 23時00分
神社姫のような巨大な妖怪だったのか?茨城東西浜に漂着した15メートルの巨大な「女の死体」
先日、日本に出没した病気の予言をした妖怪として「神社姫」を紹介した。 文政2(1819)年に肥前国に出現してコレラの流行を予言した妖怪で、頭に二本の角を生やした女性の顔、全長2丈(約6メートル)の魚のような姿をしているというものである。同様の「女性の顔をした巨大な予言する妖怪」として肥前平戸に出た龍神の使者と名乗る「姫魚」もおり、こちらも体長1丈5、6尺(4.5~4.8メートル)だったという。ちなみに神社姫の体が蛇や龍に似た長いものであるのに対し、姫魚はより魚に近い太めの形となっている。 神社姫や姫魚は噂の伝播によって生まれたものではないか、とされているが、一方で神社姫が実在していたのではないか、と思えるような奇妙な記録が「今昔物語集」の中に存在している。 「今昔物語集」卷三十一 本朝第十七によれば、藤原信通朝臣という人物が常陸の守の任にあったときのこと。嵐の翌朝、現在の茨城県東西の浜に巨大な人間の遺体が漂着した。その身長は15メートルもあり、上半身を出して砂浜に埋まっている。首、右手、左足がなく、身なりや肌から判断するに女と見受けられたそうだ。既に腐敗が進行していたようで、死体から漂う腐った異臭は周囲に多大な被害を与えたそうだ。神社姫や姫魚を超える大きさであり、女性という点や海から漂着したものだという点が興味深い。 巨大な正体不明の生物の死体が漂着するケースといえば、謎の巨大な肉塊が漂着する「グロブスター」を思い浮かべる人もいるだろう。さすがに巨大な人間の死体がそのまま漂着したとは考えにくいため、今回も何かしらの生物の死体が漂着し、その様子が人間のものに見えたと考えるのが良いのではないだろうか。 ちなみにグロブスターは海で死亡したクジラなどの海洋生物の死体が腐って一部が漂着したものとされている。尾びれが切れていれば尻尾が足に見えたり、鰭の一部が腕に見える外見であったならば、巨人に見えても不思議はない。またグロブスターの全体を覆う繊維質の組織は女性の長い髪に見えたかもしれない。 残念ながら同様の報告はないため、千年も昔の海に漂着したこの巨大女の正体を突き止めるのは不可能に近いだろう。だが、実に興味深い話ではある。(山口敏太郎)
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ミステリー 2020年03月21日 23時00分
アマビエだけじゃない!?コロナウイルス騒動で再注目される予言妖怪「神社姫」
以前こちらでも紹介させていただいたが、現在ネットで「新型コロナウイルスよけ」と銘打ち、江戸時代に現れた妖怪「アマビエ」の絵が流行している。 江戸時代、肥後の国の海に全身がうろこで覆われて光り輝く奇妙な妖怪が姿を現した。頭部には長い髪があった。顔にはくちばし、目は菱型をした人と魚を合わせたような姿で、6年間の豊作の後に疫病が流行ると予言。自分の姿を写した絵があれば病を防ぐことができると予言して去った。その後、アマビエを描いた絵は疫病よけになるとされ、相当流行したという。この話が語り継がれ、そして病気が流行っている現代に再びよみがえるというのは非常に興味深い話である。主にTwitterで流行したアマビエ祭りだが、ついには海外へ進出してもいる。「#Amabie」とハッシュタグを付け、海外の人々も「日本の伝説に登場する妖怪だ」として描いているので、気になる人は検索してみてほしい。 さて、アマビエのように人語を話し、近い将来に起きることを予言する妖怪は多数おり、有名どころでは人面の牛の「件(くだん)」がある。これらの予言する妖怪は天変地異の前に出没するといわれ、他にも様々なものがいる。例えば「神社姫」というものがいる。これは文政2(1819)年に肥前国に出現したもので、二本の角を生やし、女性の顔をした全長2丈(約6メートル)の魚のような生物が出現。「竜宮から来た神社姫である」と語り、コレラの流行を予言したという。神社姫もまたアマビエと同様に姿を描いた絵を見れば病難を除けることができるとされ、流行ったそうだ。 アマビエに類似の妖怪がいたように、神社姫にも似た妖怪がいる。文政初期に肥前平戸に似た姿で龍神の使者と名乗る「姫魚」が現れ病気が流行ることを予言したという話が水野皓山による『以文会随筆』にて紹介されている。神社姫の場合、もともと日本各地に「人魚が姿を現し、災害が起きることを予言する」という伝説があったり、悪天候の時に人魚が姿を現した話があったため、それらを下敷きにして生まれたものと考えられている。 ちなみに前述のアマビエ祭りでは神社姫を描く人も出てきていた。ユーモラスなアマビエと対照的に、神社姫は結構、美人に描く人が多かった。(山口敏太郎)
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ミステリー 2020年03月15日 23時00分
病気をもたらす妖怪たちの絵、実は政治風刺が込められていた!?
現在、世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっており、日本でも感染者が確認される事態となっている。現代の病気は病原菌やウイルスが主な原因であると判明しているが、原因が分からなかった昔の人々は、病気が悪鬼や妖怪によってもたらされるものだと考えていた。そのため、偉人が病気の妖怪を退治する話が生まれたり、疫病がはやった時にはその逸話にあやかった絵を飾ると疫病よけになるとして出回ることも多かった。例えば以前紹介した角大師やアマビエの絵などが代表例だろう。 今回紹介するこちらの題材も、病気よけとみなされた題材である。酒呑童子(しゅてんどうじ)退治などで知られる源頼光が病気で臥せっていると、巨大な蜘蛛(くも)の妖怪が現れた。頼光が愛刀の膝丸で切り付けると妖怪は退散。坂田公時ら頼光四天王が妖怪の残した血の跡をたどると、北野天神裏の古塚に土蜘蛛が巣食っており、退治した……という逸話にちなんだもの。病気の妖怪を倒す話だけに、この話を題材とした絵も病気よけとみなされた。 天保14(1843)年に描かれた歌川国芳の「源頼光公舘土蜘作妖怪図」もこの話を題材にした3枚続きの作品である。右側に鉢巻をして床に就く源頼光と、その上に巣を張る土蜘蛛の姿が描かれており、真ん中には碁を打つ頼光四天王がいる。その上には土蜘蛛が呼び込んだとぼしき妖怪たちが百鬼夜行を繰り広げている、という構図になっている。国芳らしいダイナミックな構図とユーモラスで独創的な妖怪たちが多く描かれており、現代の我々から見ても楽しいものになっている。 しかし、この絵が描かれた背景や意図はあまり楽しいものではない。この絵が描かれた当時は水野忠邦による天保の改革の時代で、幕府の厳しい緊縮政策とそれに苦しむ民衆を妖怪に、源頼光と四天王を時の将軍であった家慶と老中・水野忠邦らに当てはめて描いたものだとされているのだ。 天保年間は飢饉が発生したり、大塩平八郎の乱や生田万の乱など、さまざまな事態が発生した時代でもあった。そこから天保の改革が行われたものの、社会的な混乱が収まることはなかった。そんな天保の改革の様子を皮肉ったものだとして、この絵は当時から人気を博し、絵解きを楽しむ人々も多かったという。まるで現代の政治風刺漫画のようだ。 あまりの人気ぶりに浮世絵の版元である伊場仙が、幕府の手打ちを受ける前に絵を回収し版木を削るという対処に出たため、国芳も版元もおとがめなしとなった。だが逆にこの絵の海賊版が流出。問題となった妖怪の部分を削った絵を売り、裏で妖怪の部分も刷った絵を高値で売るという悪質な店も出たとか。ちなみにこの悪質商売を行った店は召し捕られたとのことだ。(山口敏太郎)
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ミステリー 2020年03月14日 23時00分
病気、災害、人の心の弱みにつけ込む悪徳霊能者や霊感商法
病気や災害などが発生すると、どうしても人は不安を抱き、心が弱ってしまう。そんな人の弱みにつけこんだ霊感商法はいつの時代も人々を苦しめてきた。 カルト教団や悪徳霊能者による霊感商法・洗脳と、占い師による占いや自社仏閣によるお祓(はら)いの違いだが、正直言ってあまりない。科学的な根拠がないという点では同じである。極論ではあるが、神社からもらうお札や、寺院で購入するお守りの効果は科学的に立証されたものではない。 ではなぜ筆者が、神社・仏閣や町の占い師を勧めて、もったいぶった悪徳霊能者を批判するかというと、その違いは動く金額にあると思う。お金とは人間を救う場合もあるが、破滅に追い込む場合もあることをもう一度自覚してもらいたい。莫大な金を徴収する霊能者や団体も問題だと判断しているのだ。 街角で占いのおばさんに鑑定してもらっても、せいぜい数千円から数万円であり、ちょっとした時間つぶしや迷ったときに背中を押してもらう金額としては適度な価格である。また、お寺でのお祓いや読経でも、お布施として包むのは数万円である。つまり、世の中の一般常識の金額の範囲内であり、その人の経済事情に致命的なダメージを与えない金額である。これぐらいの金額なら、まったく問題はないだろう。 身内が亡くなった時に、お金持ちの依頼者が高僧に頼んで戒名や読経をしてもらうことがまれにあるだろう。それであったとしても数十万円の範ちゅうであり、百万を超えることはほとんどない。この程度の金額ならば、依頼者が破綻することもない。いや、そもそも既存の神社寺院はその人の経済状況に合わせて、葬儀や法事、お祓いができるように体制を整えており、依頼者が困窮することはない。 ところが、悪徳霊能者やカルト教団の中には、一般家庭の相談者に数百万、数千万を請求する連中がおり、支払い能力がない場合はローンを組ませて払わせるというのだから、驚きである。心が弱っている人間を助けると言いながら、相手にローンを組ませて利益を得るとはまさに鬼畜の振る舞いではないか。結局そのローンが払いきれず自己破産や夜逃げ、自殺に追い込まれる被害者がいる。これは明らかに犯罪である。人々の屍の上に立つ悪徳霊能者やカルト集団を許してはならない。 街角の占いで数千円、数万円使うぐらいならば、大きな社会問題になることはない。それは占いという人類最古のエンターテインメントの料金としては”適切な価格”だと思える。恋に悩む女の子や、仕事や人生で苦しむ中高年の相談口として”良心的な占い師”は必要である。市井の心の癒やしとしての役割を果たす、”良心的な占い師”はあってしかるべきであると筆者は思っている。 だが、すがってくる相談者から財産や家土地を取り上げる悪徳霊能者やカルト団体は決して許すことはできない。 筆者は、オカルトを小説や映画の素材となる健全なエンタメとして改善したいと思って活動しており、インチキはインチキ、嘘は嘘、勘違いやトリックが判明したオカルト事例に関してはその真実を伝えている。犯罪を取り締まる警察官は、犯罪者ではない。オカルトのインチキを暴露し、真実を伝えている筆者は、オカルトを悪用している悪党とは違うのだ。今後も奴らとの闘いはエンドレスで続くが、真の不思議、真のお役目に世界中の皆が気付く日まで、筆者の啓蒙活動は継続していくだろう。(山口敏太郎)
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ミステリー 2020年03月08日 23時00分
江戸時代に現れた妖怪がコロナウィルス騒動で再注目!?「アマビエ」
現在、Twitter上で奇妙な生物を描いたイラストが多くのユーザーによって投稿されている。その生物は「アマビエ」。その昔、江戸時代に肥後の国に出たという妖怪だ。 アマビエは弘化3(1846)年、肥後国(現在の熊本県)の海に現れたという。4月中旬、毎晩のように海中に光るものが現れたため、役人が現場に赴いた。そこには光り輝く奇妙な生物がいたという。足、ないしは尾ひれは三つ股に分かれ、全身はうろこで覆われており、頭部には長い髪があった。顔にはくちばし、目はひし型をした、人と魚を合わせたような姿をしていた。 生物は役人に、自分は海中にすむ『アマビエ』であるといい、6年間の豊作の後に疫病がはやると予言。自分の姿を写した絵があれば病を防ぐことができると予言して去った。その後、江戸時代にこの生物の姿を描いた絵が広まったようだ。 同様の生物は他の地域でも目撃されている。日向国(現在の宮崎県)イリノ浜沖には「尼彦入道」なる妖怪が出没したそうで、熊本士族の芝田忠太郎という人物の前に現れた尼彦入道は「これから6年、大豊作が続く」、「悪病が蔓延する」と予言したとされている。そんな尼彦入道の外見は、顔はしわも深く眉毛とひげの濃い、はげ頭の男性だが、胴体はペンギンのようで、大きな一対のヒレないしは翼を備えており、体表面をびっしりとうろこが覆っている。そして、細い鳥のような足がなんと9本も生えている。 この尼彦入道は前述のアマビエと予言の内容も似通っているため、アマビエの伝説が変形したものではないかと考えられている。 また、熊本には明治期にも同じ三本足の『アマビコ』なる妖怪が出現して予言したといわれる。妖怪研究家の湯本豪一氏は『アマビコ』は『天響』で、神と人とをつなぐ存在とされたのだろう、との説を掲げている。 江戸から明治にかけてたびたびアマビエとその派生妖怪の報告があったということは、それだけ人気だったのだろうか。それとも、妖怪の名を借りなければならないほど不安に満ちた社会だったのだろうか。 いずれにせよ、江戸時代に話題になった妖怪が現代に再度注目されるというのは興味深いことである。(山口敏太郎)
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