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ダイオウイカ水揚げ、チリ沖地震… 巨大地震5月が危ない「深海の異変」(1)

 チリ沖地震では、チリ北部の沿岸に最大で2メートルの津波が押し寄せ、同国内で6人の死亡が確認されている(4月2日時点)。地震はチリ北部・イキケ沖の太平洋で起きた。アメリカの地質調査所によると、震源の深さは20キロと推定されている。
 「チリは太平洋のナスカプレートと陸側の南アメリカプレートがぶつかるところです。太平洋プレートは20世紀後半から膨張を続けているため、ナスカプレートが押され、ひずみが限界に達して巨大地震が発生したと考えられます」(サイエンス記者)

 日本列島から約1万キロ以上離れた南半球で起きた地殻変動は、翌日の夕方まで日本に押し寄せた津波以外は関係がないと思うかもしれない。しかし、太平洋のスケールから見れば、チリが太平洋プレートと隣接するナスカプレートの東端なら、日本は太平洋プレートの西端だ。
 「ニュージーランドのクライストチャーチ市を襲ったM6.3の直下型地震の1カ月後に、あの東日本大震災が発生しました。これと同じように、チリ地震でナスカプレート東部の圧力が解放された結果、バランスを取るために今度は日本付近の太平洋プレート境界で地殻が大規模に割れる可能性は、十分考えられます。時期的に見ても5月が最も危ないのでは」(同)

 今回のチリ地震の意味について、琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏が語る。
 「太平洋には、南極海から太平洋にかけて延びる東太平洋海膨と呼ばれる海嶺が走っている。ここはマントル対流が上がってきており、東西の両側に割れている。つまり、太平洋を引き裂いているのです。そして割れたプレートの西側の広がりは太平洋プレート、東側をナスカプレートと呼んでいる。いずれも、少しずつ移動して陸側のプレートの下に沈み込み地殻変動の原因となっていますが、1950年以降を見ると、ナスカプレートの東端で大きな地殻変動が発生した数年後には、例外なく太平洋プレートの西端や北端で巨大地震が発生しているのです」

 太平洋プレートに隣接するナスカプレートによる“誘発地震”が発生。つまり、地震のエネルギーが隣接するプレートに影響し、大地震を引き起こすというわけだ。
 歴史を紐解けば、1960年、近代地震学の計器観測史上で世界最大とされるM9.5の超巨大地震がチリで発生すると、4年後にアラスカでM9.2の地震が発生。さらに東日本大震災の前年にもチリでM8.8の巨大地震が起きている。

 武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が言う。
 「太平洋プレート、ナスカプレートはそれぞれ別のメカニズムで動いていると考えられますが、“兄弟プレート”の一方で巨大な地殻変動が発生すると、もう一方でも数年後に大きな地殻変動が起こっているのです。その謎は解明されていませんが、注目に値すると思われます」

 しかも、このところ太平洋とその周辺地域では、巨大地震の前兆となる火山の噴火活動が繰り返し発生している。
 3年前、霧島山・新燃岳が突如として噴火すると、その2カ月後にハワイ・オアフ島のキラウエア火山のマグマ流出量が急増するという現象が起きた。
 「折しも今、小笠原諸島の西ノ島が活発な活動を続けている。チリ地震、西ノ島の火山活動−−と見てくれば、日本付近で巨大地震が発生するのはもはや秒読み段階とも取れる」(前出・サイエンス記者)

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