数々の名馬、強豪馬を育てた名伯楽の橋口師でさえ、うっとりさせてしまう。それほど今のスリープレスナイトは充実している。
「トモが本当にしっかりしてきて、筋肉の盛り上がりはまるで香港馬を見るみたい。牝馬らしからぬトモの丸みだよ。感心してしまうぐらい。だからあの推進力を生み出せるんだろう」とつぶやいた。
父クロフネから受け継いだ遺伝子は、4歳の夏に見事な完成形を描き出した。筋肉の発達のすごみはまさに父のそれ。そして戦いの軌跡までも、父と軌を一にしようとしている。
芝、ダート問答無用の強さを見せたクロフネと同じように、スリープレスはダートのオープン特別を2連勝した後、前走は芝のCBC賞を楽勝してみせた。
その強さは、橋口師をうならせた。「久々の芝だったから正直、半信半疑だった。それが本当に強い勝ちっぷりでしょ。あの内容ならむしろ、芝の方がいいかもしれないね」といわしめた。芝は新馬、未勝利戦で2度敗れて以来、1年半ぶりだった。だが、当時とは別馬に成長したスリープレスはまったく違う答えを出してみせた。
この中間は暑さに負けず、好調を保っている。「短期放牧に出したけど、仕上がりはいい。もともと使い減りしないタイプだし、馬体はふっくらしている」
勝てばサマースプリント女王、そして秋にはGIスプリンターズSも見えてくる。「心配は出遅れだけ。スプリンターズSにはウチの厩舎だけでも4頭出しが可能だし、秋も含めて楽しみが膨らむ結果を期待したい」
スピードとパワー。このふたつを武器に、真夏の小倉を駆け抜ける。