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建ち上がり、神となった御柱──長野・諏訪大社

 勇壮な「山出し」からひと月余、諏訪大社・上社の御柱祭がクライマックスを迎えた。真夏のような陽気に包まれた5月2〜4日の三日間、「里引き」と「建御柱」が行われたのだ。

 信濃国一の宮として名高い諏訪大社。諏訪湖の南北に上社(前宮、本宮)と下社(春宮、秋宮)の計四社が鎮座する特異な形態で知られ、日本最古の神社の一つともされる。この諏訪大社で七年ごとの寅・申年に行われるのが天下の奇祭・御柱祭。4月上旬には、御柱を山から四本ずつ里へと下ろす山出しがあり、豪快な木落しや川越えに里は沸き返った。

 里引きは、御柱屋敷に留め置かれていた御柱を境内へと運ぶもの。本宮から宮司らと、「お舟」と呼ばれる舟形の神輿が迎えに出る一方で、御柱側には騎馬や長持ちなどの行列が加わり、山出しから一転、華麗な祭絵巻が展開される。
 建御柱は曳行の翌日。まず、柱の先端を三角錐状に斧で切り落とし(冠落し)、大木は御柱としての支度を整える。そして氏子を背負い、ゆっくりと建てらていく。その姿は「立ち現れる」と表現される“神の出現”そのもの。木遣りも大歓声もどこか遠くに感じられるほどに圧巻だ。
 最後に御柱の先端には御幣が打ち付けられ、大木はようやく神となる。切り倒され、引き回され、再び大地に屹立する御柱。死と苦難と再生のドラマを経て、山の神はこうして里に生み出されるわけだ。

 一本ずつ木落し坂にやってくる御柱を待つ山出しと違い、境内に全ての御柱が集結する建御柱は、常にどこかで神事や演奏合戦などが繰り広げられていて実に賑やか。続く5月8日(土)〜10日(月)は下社の里引きと建御柱。力強い神の出現を、目の当たりにできたことだろう。

(写真「氏子とともに建ち上がる本宮・一之御柱」)
神社ライター 宮家美樹

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